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史上初のW杯女性審判員・山下良美×W杯2度出場・中澤佑二 W杯選出は「審判仲間からメッセージが」

2022年7月29日 6:05
史上初のW杯女性審判員・山下良美×W杯2度出場・中澤佑二 W杯選出は「審判仲間からメッセージが」
サッカー元日本代表・中澤祐二さん(左)と初の女性プロレフェリー・山下良美さん(右)

日本テレビ「news zero」で、今年の11月に開幕するサッカー・FIFAワールドカップカタール2022で初めて女性審判員としてピッチに立つ山下良美さんと、自身も選手として2大会連続でワールドカップ(以下、W杯)に出場した中澤佑二さんの対談が28日に放送されました。

◆W杯で審判することを知ったきっかけは審判仲間からの連絡

(中澤)W杯選出おめでとうございます。率直な感想はいかがですか?

(山下)聞いたときには、体をぐわっとわしづかみにされるような、ギュッとした気持ちになりました。

(中澤)どういった形で聞かされるんですか?

(山下)オーストラリアの審判仲間からメッセージが届きまして。「何言っているの」って返したのが一番最初でした。

(中澤)要するにオーストラリアの友人からきた連絡で気がついた?

(山下)そこではい。自分で調べたら名前がありました。その後で知らされました。正式に。

(中澤)W杯というのは目標としてあったんですか?

(山下)正直目標なんていえる世界ではなかったので、本当にその上をいくような夢の夢にも思い描けない感じですね。

◆きっかけは大学の先輩に“無理やり”

お兄さんの影響でサッカーを始めた山下さん。幼稚園のときにはボールを蹴っていました。大学では女子サッカー部でディフェンダーとしてプレーしていました。

(中澤)審判をやり始めたきっかけは?

(山下)大学の先輩に坊薗真琴さんという方がおりまして、いま一緒に国際審判員として活動しているんですけれども、坊薗先輩に最初は無理やりつれられて審判をやったというのが最初の最初です。サッカーをずっとやってきたんですけれども、大学を卒業してじゃあ次どこのチームに行こうかな。でもサッカーには関わりたいなというときに審判は体も動かせるし、サッカーにも関われるし、フィールドにも立てるしみたいな感じで。でもちょっと気持ちは進まなかったんですけど。でもそれで始めました。

(中澤)審判の印象というか、当事者がやられてみて率直な感想は?

(山下)本当に始めてからは1試合1試合を行うことに、精いっぱいではあったんですけど。最初はもう本当に最初の笛を吹いて、時間を計ってで、最後の笛を吹くことだけを考えて、最初の試合はやってたんですけど、そうするとやっぱりこうしないといけないな、審判員としてフィールドに立つにはこうしなきゃいけないなとか。こうしたいなとかいう気持ちが、こうどんどん次こうしようとかいう気持ちで、次に臨んでっていうのが積み重なっていったような感じです。

(中澤)審判を1試合1試合することによってはまっていたということでいいんですかね?

(山下)そうですね。今でもそうですけども、審判員として活動をしていく上でそれに惹(ひ)かれていく力っていうのはどんどん増え続けてます。

大学卒業後に女子1級審判の資格を取得した山下さん。「女性1級審判」はWEリーグなどの女子サッカーリーグや、全国高校サッカー選手権などを担当できます。

そして2019年には女性で4人目となる1級審判の資格を獲得しました。

◆Jリーグで史上初の女性主審デビュー

2021年に、J3の試合でJリーグ史上初の女性審判としてデビューした山下さん。

(中澤)男子の試合を吹くじゃないですか。やはり、スピードとかパワーとか、大変なことがある?

(山下)スピード感は感じます。特に展開の速さっていうのはすごく感じます。それに対応できるようにトレーニングはしなきゃいけないなと思っています。

フィジカルトレーニング、笛を吹くためにプレーの展開についての予測のトレーニングなど、いろんな試合を見ながら分析力をあげているといいます。

(中澤)プレーされていたと思うので、レフェリーと選手という立場だと、どうしても「くそあのレフェリー!」みたいな。そうやって、そういう感情がやっぱあったんですけど

(山下)そうなんです。それだけの責任があるので、それをしっかり果たさなきゃいけないっていうのもモチベーションになってます。

(中澤)選手たちが審判さんに向かって囲むっていう、4・5人で、「いやそれは違うでしょう!」みたいなのはやられたことはあります?

(山下)ありますね。やっぱり圧倒されちゃいけないんですけど、圧倒はされます。されてないフリしてますけど。私の場合はいい部分でも悪い部分でもあるんですけど、自分自身が怒ってしまうということはないんですけれども、自分が「これはダメだと思っているぞ」っていうのを伝える表現が苦手という部分もあるので、それが伝えられるようにとは思ってます。

(中澤)自身が吹かれた試合というのは、試合後に見返したりするんですか?

(山下)そうですね。毎回見返すんですけども、やっぱりあんまり見たくないです。

(中澤)ですよね。僕も見ないです。僕も失点とか絡んだやつは絶対見たくないです。

(山下)見たくないですね。

(中澤)100パーセント見たくはないんですけども、翌週の週1のミーティングで絶対見るので。土曜日に失点したら、日曜日休んで月曜日の朝イチのそのミーティングで見せられるので、絶対見ないです。監督に怒られるので。駄目ですよね。見るのは。

(山下)見たくないんですけど、見なきゃいけないですね。


◆“プロレフェリー”として臨むW杯

今月14日に日本サッカー協会とプロフェッショナル契約を結び、日本初の女性プロレフェリーとなった山下さん。

(山下)女性の審判員としての可能性が少しでも広がっていくといいなと思いますし、更衣室の問題とかも部屋を新しく用意してくださったり、ちょっと配置を変えてくださったりとか、そういう理解もすごく深まってきているなというのもすごく感じる。

(中澤)山下さんが頑張れば頑張るほど、環境の変化はもっとよくなってくると?

(山下)知ってもらって理解してもらってというところから始まるかなとは思ってます。

プロレフェリーとして、さらに史上初の女性審判として臨むW杯について。

(山下)責任はすごく大きく感じていますし、そういう思いを背負って参加しなきゃいけないなとは思ってます。常に目標はやっぱり次の試合で選手が夢中になって、ボールを追いかけて、お客さんも夢中になってサッカーを見てっていう、そういう環境を審判員としての役割の中で一緒に作っていけるっていうのが、とにかくそれを目標にしています。

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