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長友・本田・香川・岡崎ら日本史上唯一の「3戦全敗」北京世代からひも解く「パリ世代」への期待 <パリの主役は君たちだ!>

2024年3月21日 6:06
長友・本田・香川・岡崎ら日本史上唯一の「3戦全敗」北京世代からひも解く「パリ世代」への期待 <パリの主役は君たちだ!>
左から当時の内田篤人、香川真司、本田圭佑、長友佑都、岡崎慎司(写真:アフロスポーツ、青木紘二/アフロスポーツ)
パリ五輪アジア最終予選を控え、サッカーU-23日本代表は22日に京都でマリとの強化試合に臨みます。

若い世代が中心となる五輪は次の日本代表を支える世代。五輪で世界の舞台を経験することは結果以上の意味を持つことを北京五輪からひも解きます。

吉田麻也選手・内田篤人さん・長友佑都選手・本田圭佑選手・香川真司選手・岡崎慎司選手など、日本サッカーをけん引し、世界中で輝かしい成績を残した選手たち。

そんな彼らが出場した2008年北京五輪はアメリカ・ナイジェリア・オランダと戦い3戦全敗。若きスターたちが世界の壁を経験した北京五輪を振り返ります。

■長友・内田・本田・香川ら選出 "オーバーエージなし"で臨むことを決めたメンバー選考

初戦の約1か月前、2008年7月14日にメンバー発表が行われました。反町康治監督は「サッカーに対する情熱、強いメンタリティー。心技体の中で特に心の部分を大切にして選んだ」と選考の基準を語りました。

岡崎選手は「個人としては世界に対してどれだけできるか興味があり楽しみ」と話し、2007年に日本国籍を取得した李忠成選手は「この五輪がなければ自分は帰化していなかったと思う。自分の人生を変えた五輪の本大会のメンバーに選ばれて嬉しい」と喜びを語りました。

反町監督がオーバーエージ枠で招集を希望していた遠藤保仁選手は候補合宿を辞退し、本大会での招集も断念。オーバーエージ枠はゼロで本大会に臨むこととなりました。

「2008年北京五輪メンバー」
※()は当時在籍チーム

【GK】
山本海人(清水)、西川周作(大分)
【DF】
水本裕貴(京都)、長友佑都(FC東京)、森重真人(大分)、安田理大(G大阪)、内田篤人(鹿島)、吉田麻也(名古屋)
【MF】
本田拓也(清水)、谷口博之(川崎)、梶山陽平(FC東京)、細貝萌(浦和)、本田圭佑(オランダ/VVVフェンロ)、香川真司(C大阪)
【FW】
豊田陽平(山形)、李忠成(柏)、岡崎慎司(清水)、森本貴幸(イタリア/カターニャ)

■日本五輪サッカー唯一の「3戦全敗」に本田圭佑「これが実力ということしかない」

初戦アメリカ戦を0-1で落とし、予選リーグ突破には勝利が欲しい2戦目ナイジェリア戦も1-2で敗れ、早々に予選リーグ敗退が決定しました。

試合後、反町監督は「これほど悔いの残らなかった試合もない。自分たちの持っている力は全てを出した。それでもサッカーの世界は厳しくて、結果が出なかった。それだけです」と表情を変えずに話し、本田圭佑選手は「これが実力ということしかない。個人としては、サッカー人生は続くので前を向いて進んでいかないといけない。もっと練習して上を目指さなければならない」と悔しそうな表情を浮かべながら語りました。

■「3戦全敗」結果以上に見えた収穫

3戦目のオランダ戦も敗戦。日本代表は3戦全敗で五輪を去りました。結果を見ればうまくいかなかった大会に思えますが、この大会が後の日本サッカーに大きな影響を及ぼしています。北京五輪メンバーの18人中17人がA代表を経験。

初の国際大会を経験した長友選手と岡崎選手、中軸を担った吉田選手、香川選手、本田圭佑選手など、この大会で悔しさを抱いた日本人選手はいずれも世界で活躍する選手になっています。

また彼らが2010年、2014年のW杯でも活躍し日本サッカーをけん引していたことを考えると、北京五輪での敗戦は日本サッカーにおいて結果以上の好影響があったといえるかもしれません。

■北京五輪から学ぶパリ世代の優位性

北京五輪の時の海外組は18人中2人。五輪で世界を経験して、海外チームで羽ばたく選手が多くいました。

22日に行われるマリ戦に選出された海外組は5人。そのほかにもパリ五輪世代はすでに海外クラブで活躍している選手が多くいます。

世界をすでに知っている選手たちがどのような活躍を見せるのか。またこの五輪という舞台を生かして世界に名前を轟かせる選手は出てくるのか。U-23日本代表は22日に京都でマリと、25日に北九州でウクライナと強化試合を戦い、カタールで行われるアジア最終予選に向かいます。