柔道・ウルフ アロンが迎える“正念場” パリ五輪出場へ「崖をしっかりと登り切ってその先に」
3年前の東京五輪では、持ち前のスタミナを武器に100キロ級で21年ぶりの金メダルを獲得したウルフ選手。今夏のパリ五輪で連覇を目指しているものの、東京五輪後に出場した国際大会では一度も優勝できず、代表選出に後がない状態です。
実は、東京五輪後に柔道を1年間休養し、柔道を広めるためにテレビ出演などの活動を精力的に行っていました。その結果、練習を再開する頃には体重が35kgも増加。試合までに全盛期の体の感覚を取り戻すため、避けては通れないのが減量でした。スープやサラダなどのヘルシーメニューを自炊し、しかも最低限の量だけで済ませます。
そんな過酷な減量をしているとき、ウルフ選手が街中で一番見たくないものは自動販売機だと教えてくれました。減量の最終段階では水すらも抜くため、喉がとても渇くからだそうです。
減量を終え、計量を突破すれば、翌日の試合までにエネルギーを補給します。まずはヨーグルトで胃を落ち着かせ、ストローを使ってコーラを少量ずつ飲んでいきます。
この光景をスタジオで見た元柔道選手の穴井隆将さんは「一気にガーって飲んじゃうと吸収率ってあんまり良くない。少しずつ摂らないと摂取率が上がらない。意外とちゃんとしているんだなと思いました」と話してくれました。
その後、フルーツで糖質を補給し、おにぎりやうどん、肉にサラダと大量の食事をとり翌日の試合に臨みます。
今回挑む試合はパリ五輪の選考をかねた大一番、グランドスラム東京です。1回戦から登場したウルフ選手は、相手に1ポイントも与えない完璧な柔道で順調に勝ち上がりました。
迎えた準々決勝、対戦相手は以前敗れたイタリア代表のピレッリ選手。序盤から猛攻を仕掛けてくる相手に対し、なんとか耐え凌ぎ、勝負は延長戦へ。持ち前のスタミナで、数々の勝利を掴み取ってきた延長戦では、開始1分に技ありを取ったと思われましたが、まさかの取り消し。7分に及ぶ熱戦を繰り広げるも3つ目の指導をとられ反則負けを喫しました。
その後、敗者復活戦にも敗れ最終順位は7位。パリ五輪代表落選の窮地に立たされるも、ウルフ選手がエントリーする100キロ級のみ選考を2月の大会に持ち越される異例の事態となりました。
ウルフ選手は「崖の下の感じではありますけど、その崖をしっかりと登り切ってその先にいけるようにしてきたいですね」と、今後の目標を話してくれました。