【学生ハーフ】箱根駅伝王者・駒澤大の篠原倖太朗が日本一 快挙続くも"まだまだ上がいる"成長の秘訣に先輩・田澤の存在あり
■「自信もあったんでしょう」大八木監督も称えるレース運び
スローペースで進んだレースが、動いたのは15km前の給水地点。
篠原「強い選手がみんな給水を取りに行ったので、もうここで行っちゃおうと思って仕掛けました」
当初、篠原選手はラスト5kmで勝負に出るプランを思い描いていましたが、ライバル選手たちの動きを見て予定よりも早くスパート。
15~20kmの5kmを14分29秒までペースアップし、食らいつこうとした並木寧音選手(東京農業大学・3年)らを突き放すと、最後は右手を突き上げてフィニッシュ。1時間2分16秒で学生日本一のタイトルを手にしました。
指導する大八木弘明監督は「残り3kmぐらいから行ってもいいよ、と言っていたんだけど、(それよりも早く仕掛けたことは)度胸があったな。それだけの力は持っているし、自信もあったんでしょう」と、篠原選手の見事なレース運びをこう称えていました。
この大会は今年8月に中国・成都で開催されるFISUワールドユニバーシティゲームズ(ユニバ)の選考を兼ねており、篠原選手は初の日本代表に内定しました。これで駒澤大学からは、旧名称・ユニバーシアード時代から8大会連続で日本代表を輩出することになりました。
(※2021年の学生ハーフでは鈴木芽吹選手が2位に入り内定しましたが、開催延期により、内定取り消しになっています)
■ハーフ日本人学生最高記録に続く快挙
篠原選手は、1月の箱根駅伝では3区区間2位の快走で総合優勝に貢献。2月の香川丸亀国際ハーフマラソンでは、日本人学生最高記録(日本歴代4位)となる1時間0分11秒をマークしており、今年に入って活躍が続いています。
2月8日~27日には、アメリカ・ニューメキシコ州アルバカーキで、先輩の田澤廉選手(4年)・鈴木芽吹選手(3年)とともに高地合宿を行いました。
篠原「アメリカではスピードもスタミナもバランスよく強化してきましたが、田澤さんと一緒にやった練習では全部ラストで離されてしまいました。田澤さんの設定タイムで自分もやりたかったので、(それができず)悔しかったですね」
ハーフマラソンで学生最高記録保持者になっても、世界を知る大エースの田澤先輩には、全く敵いませんでした。
大八木監督は、「天狗にならずに、謙虚さを持って、"もっと強くなろう"という心構えが、成長させているんだと思います」と話します。
"上には上がいる"と思わせてくれる先輩の存在が、篠原選手の成長を加速させているようです。
田澤選手が卒業しても、駒澤大学には鈴木選手、佐藤圭汰選手(1年)といった学生トップ級の選手が残ります。
篠原選手もポスト田澤の一人に名乗りを上げ、箱根駅伝連覇、そして、2年連続の学生駅伝三冠に向けて、存在感を示しています。
■2位吉田選手は靴ひもがほどけるアクシデントも…
「通常通りに練習ができていて、調子が良かった。(優勝争いをするのは)篠原君しか相手はいないと思っていた」と川崎勇二監督の読み通りの展開になったものの、吉田選手は靴ひもがほどけてしまうアクシデントに見舞われます。
13km手前で靴ひもを結び直し、一時は先頭から10秒ほど遅れてしまいます。それでも吉田選手は冷静でした。「公園内のコースを上りも下りもポイントをちゃんと把握していたので、落ち着いていけました」と慌てることなく、前を追います。
また、これまでハーフマラソンではラスト5kmの失速を課題としていましたが、今回は15~20kmの5kmを14分36秒でカバーし、終盤に一気に順位を上げ、2位でフィニッシュしました。
しかし、「優勝を狙っていたので、2位で満足はない」と、同じ千葉県出身の篠原選手に敗れたことには悔しさを口にしていました。
吉田選手も2月の丸亀ハーフでは従来の日本人学生最高記録を上回る1時間0分31秒(日本歴代9位)で走っていますが、その時にも篠原選手の後塵(こうじん)を拝しています。
それだけに、「ユニバでは必ず勝ち切りたいと思います」と篠原選手への雪辱を誓っていました。
中央学院大学は前回の第99回箱根駅伝予選会で上位通過が見込まれていたものの、故障者の影響もあり12位とまさかの落選。エース吉田選手の好走は、100回大会での復活に大きなはずみとなりそうです