【箱根駅伝の裏側】駒澤・5区山川拓馬 初の山上りで力走できたワケ 4年生の給水と合宿での準備
3区まで2位につけていましたが、4区で1位に浮上すると、"最大の難所"とされる山上りの5区で、2位以下のチームに差をつけ、往路優勝を果たしました。
その5区を走ったのが、1年生の山川拓馬選手でした。(2023年1月7日に日本テレビでOAされた『もうひとつの箱根駅伝』より)
小田原中継所では、トップでタスキを受け取りましたが、2位の青山学院大学との差はわずか1秒。続いて39秒差でタスキをつないだ中央大学は、前回大会で1年生ながら区間6位と好走した阿部陽樹選手を起用するなど、混戦が予想されるスタートとなりました。
序盤、阿部選手が青山学院の脇田幸太朗選手を抜いたことで、往路優勝を懸けた勝負は中央・阿部選手と駒澤・山川選手の一騎打ちに。
山川選手は「どんどんと体が硬直し始めていたので。全然動いてなかったなというのが自分でも分かったくらい」と振り返るように、初めての山に苦しめられ、2位の中央・阿部選手に差を縮められます。
そして、15キロの給水地点。ここで登場したのが、4年生の大坪幸太選手です。
山川「給水ってすぐに渡して離れるじゃないですか。でも大坪さんはずっと自分に声を掛けてくれていて、それが後半の下りに入るところまでのパワーになった」
大坪選手は毎年5区の候補に挙がっていましたが、箱根路を走ることがかなわなかったランナーです。
初めて5区を走る後輩のために給水係を買って出ると、約50メートル並走しました。大坪選手の声掛けもあって、山川選手は最高到達点まで1位のまま上り切ります。
そして、上りから一転して下りに変わる残り4キロ地点。上りでは分がある山川選手でしたが、下りは完全に阿部選手の土俵とされてきました。しかし、箱根駅伝前の合宿で習得した下りでの走り方や腕の振り方によって、ここでもその差を縮めさせません。
ひっきりなしに飛ぶ「頭突っ込め!倒れるくらいまで」「ブレーキ掛けない」といった大八木弘明監督からの熱い声掛けを聞きながら、苦手だった下りも走り切り1位でフィニッシュしました。
レース後、「よくやった」とチームメートから頭をなでられていた山川選手。
2位の中央大学・阿部選手に30秒差をつける力走で、駒澤大学の総合優勝、そして学生駅伝3冠に貢献しました。