【特集】水球のまち柏崎から世界へ ブルボンKZ・新田一景選手 パリオリンピックへの挑戦 レジェンドとの共演も 《新潟》
■東京五輪で37年ぶりの勝利 水球男子日本代表 その快挙の裏で…
2021年夏…世界の強豪と戦った東京オリンピック。
日本代表をけん引したのは、ブルボンウォーターポロクラブ柏崎に所属する選手たちです。そして、37年ぶりとなるオリンピックでの勝利を掴み取りました。
その偉業を少し複雑な思いで見ていた選手がいます。ブルボンKZの新田一景選手(25)です。
新田一景選手
「東京オリンピックの選考に入ったときに右手首をケガしてしまって。どの試合も重要ですけどやっぱりオリンピックというのは一味違った舞台にはなるのかな。」
ケガに苦しみ憧れの舞台を逃しました。
■アジア大会で金メダル獲得 憧れのオリンピックへ 新田一景選手の挑戦
高校3年ではインターハイ、国体を制覇。
“次は世界の舞台に挑戦したい”
夢を叶えるために高校卒業後、水球のまち柏崎へやってきました。
1チーム7人でプレーする水球。ゴール―キーパー以外は両手でボールを持つことは許されず、水の中でボールを片手で巧みに扱います。
水中ではつかむ、ひっぱるは当たり前。「水中の格闘技」とも言われています。
歴代、日本代表選手が多く所属するブルボンKZ。ここで切磋琢磨することで世界と戦えると思っていました。
しかし、東京五輪前に右手首のじん帯を損傷。手術を余儀なくされるなど代表から落選…。
新田一景選手
「今までやってきた結果が実らなかったことをしっかりと受け止めて、次どうするかを考えた時に、目の前のことを一生懸命やるしかない。」
そして迎えた10月のアジア大会・・・日本代表は53年ぶりに金メダルを獲得。来年のパリオリンピック出場を決めました。
その中には笑顔の新田選手も。ことしから日本代表に選出されチームを支えました。
新田一景選手
「一番は勝ててホッとしています。ただ、その中でも勝利に貢献できたかというところでは貢献度が低いのでこれからレベルアップしてもっと貢献していかなきゃいけない。」
■ブルボンKZ 日本選手権の戦い レジェンドの復帰も
さらなるレベルアップへ…日本代表から戻った新田選手が次に目指すのはブルボンKZとして戦う日本選手権です。
日本一に向け柏崎市で開かれた壮行会。そこにいたのは水球界のレジェンド元代表キャプテンの志水祐介選手です。
「柏崎を盛り上げてほしい」との打診を受け、今大会に限り現役復帰することになりました。
今回、チームメイトとして戦う新田選手と志水選手ですが…
新田一景選手
「小さいときに実は、志水選手からサインをもらっていて。ずっと実家の方に飾っているので小さいころから憧れの選手でした。」
そんな志水さんから送った言葉・・・
志水祐介選手
「新田は本当にすごいケガに悩んでいました。彼はそんな状況でも腐らず毎日毎日努力を重ね、他の日本代表選手ブルボンの選手の倍以上の取り組みをしています。アジア大会優勝でその努力がようやく実ってくれて僕はうれしかった。」
「必ずその努力は、今後の新田選手にとって日本の水球界にとって必要なものになってくると思うので、今は期待しかしていません。」
“柏崎に再び優勝を”
志水選手、率先して声を出してチームの士気を高めます。
そして志水選手の思いを受け取った新田選手は、器用さからオールラウンダーとして試合の戦況に応じた役割が求められています。
思いを一つに挑んだ日本選手権。
準決勝、第4ピリオドでも決着がつかず、ペナルティーシュート戦の末、敗退してしまいました。
迎えた翌日の3位決定戦。
メダル獲得に向け、勝負です。会場にはサポーターをはじめブルボンKZのジュニアチームのメンバーがかけつけ大歓声に包まれました。
第2ピリオド5ー4で接戦の場面…
相手のパスミスからボールが志水選手にわたり、一人抜け出しゴール!!
新田選手もディフェンスで相手のシュートを防ぎます。ゲームを落ち着いてコントロール。献身的なプレーでチームを支えます
試合終盤…
味方がパスを回しゴール前で待ち構えていた志水選手がダメ押しのシュート!!
その直後、相手からボールを奪った新田選手は、そのままカウンターをしかけ味方にパスし、見事なシュート!
13対9で勝利を収めたブルボンKZ。日本選手権を3位という結果で大会を終えました。
志水祐介選手
「今後のブルボンウォーターポロクラブ柏崎は本当に将来があり、良い選手がたくさんいます。今後、水球界がもっともっと盛り上がっていくためにはみなさんの応援や力が必要です。私自身も水球を盛り上げるバックアップを手伝っていきたい。」
新田一景選手
「これからはまたブルボンを離れて自分個人の活動になっていくので、しっかりと練習して自分の実力を上げなければいけない。得点力を磨き、日本代表のチームに貢献できればと思っています。是非オリンピックを経験してみたいなと思います。」
子どものころからの憧れ、オリンピックという夢の舞台へー。新田選手の挑戦は続きます。
(2023年11月2日「夕方ワイド新潟一番」県内ニュースより)