ブリ豊漁で南越前町活気づく 去年の漁獲量を上回るペース
南越前町の河野地区では今シーズン、ブリが豊漁となっています。活気づく港町の様子とこの時期に豊漁になっている背景を探りました。
肉厚で脂がのった刺し身に、甘辛い煮つけ。それに南蛮漬けなど、ご飯や酒が進むブリ料理。
食事客
「ブリがおいしかった。めちゃくちゃ味も濃厚だった。」
河野地区の3つの港ではブリが豊漁となっていて、去年より1か月ほど早い5月上旬から水揚げが始まり、5月末時点の漁獲量はおよそ650トンと、去年の同じ時期を大きく上回っています。
普段よりブリの仕入れ値が安くなっていることもあり飲食店の従業員からこんな声が。
「刺身なんかはちょっと分厚くなっている。量も、ブリを若干多めに出している。」
5日午前3時の甲楽城漁港です。この日も、港から1キロほど沖合にある定置網に向かいます。
記者
「ブリ!ブリ!ブリがトビウオを 追いかけている。」
漁の開始からおよそ2時間。網の中にはたくさんの魚の影が。20人ほどの漁師が総出で網を引っ張り上げます。
記者
「定置網の中すべてがブリです。パワフルに泳ぎ回り、激しい水しぶきをあげています。」
次々と水揚げされるブリで船内の魚槽はすぐ満タンに。この日も大漁。甲楽城漁港だけで重さ8キロほどのブリがおよそ1万3000本水揚げされました。
河野村漁協 甲楽城定置網組合 中川政則 組合長
「今までで少しずつというのはあったが、こんなたくさんはない。地区の定置網漁のOBの人たちが手伝ってくれて活気づく。安くても獲れればそれだけ積み重ねていける。地区も喜ぶ。」
この豊漁で、ブリの価格は普段の半分以下になっているそうです。
ところで、なぜこの時期にブリが豊漁となっているのでしょうか?
県水産試験場海洋資源研究センター河野 展久 所長
「ここ20年ぐらいブリの資源は日本全体で非常に高い水準。南越前町だけでなく県内全域でたくさんブリが取れている。ちょうど今、東シナ海で産卵を終えたブリが北のほうに海流に乗って上っていく時期になる。そういうブリの大きな群れが若狭湾に入ってきて、たくさん獲れていると考える。」
去年1年間で県内のブリの漁獲量はおよそ1800トン。今年は5月末までにすでに1300トンと、去年の漁獲量を上回るペースとなっています。
特に河野地区で水揚げが増えている要因については。
河野 展久 所長
「若狭湾にブリの群れが入って来ますと、最初に南越前町のあたりに海流があたるので、南越前町が多いのかと。もしかするとこの後6月に今以上に獲れる可能性もある。」
ブリで活気づく漁業のまち。盛り上がりはまだまだ続きそうです。