健康保険証の新規発行停止が迫る メリットと課題が交錯 利用低迷の「マイナ保険証」現場の声は 福岡
医療保険を使って病院で受診する際などに必要な健康保険証は、1週間後の12月2日に新規の発行が停止されます。マイナンバーカードを使う「マイナ保険証」への移行に伴うものですが、利用者からは賛否の声が上がっています。
みなさんはマイナ保険証を使っていますか。街の人に聞きました。
■街の人
「使っています。基本的に保険証を提示していますが、マイナンバーカードをお持ちですかって言われたら出しています。」
「両方使っています。なぜ切り替えないといけないのかをもう少し丁寧に説明してもらわないと、私自身もよく分からないので。」
マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせたものがマイナ保険証です。いま使われている健康保険証は12月2日に新規の発行が停止しますが、厚生労働省によりますと10月の時点で、マイナ保険証の利用率は15.67パーセントにとどまっています。
マイナ保険証の移行まで残り1週間となるなか、博多区役所には、マイナンバーカードを作る人やマイナンバーカードを保険証としても利用できるよう手続きに来た人がいました。
■中村安里アナウンサー
「博多区役所のマイナンバーカードの申請サポートコーナーです。多くの方が手続きに訪れています。」
■手続き窓口の職員
「きょうから保険証としてマイナンバーカードを使えるよう登録をしております。」
スマートフォンでも申請はできますが、こちらの窓口には、高齢者や外国人らを中心に1日におよそ60人が訪れるといいます。
■福岡市 データ活用推進課・成本純 課長
「特に9月10月あたりから、マイナンバーカードを申請する方、カードを持っていて健康保険証の利用登録をする方が増えている状況です。」
■窓口を訪れた人
「終わりました。簡単です。落とさんように気をつけないかんね。」
「一日でも早い方が良いかなと思って来ました。私は保険証のままでいいんじゃないかと思いますが、政府のすることだからね。」
福岡市南区にあるクリニックでは去年10月からマイナ保険証の運用を始め、患者に利用を呼びかけています。
■しらつち耳鼻咽喉科・白土秀樹 院長
「(これまで)医療情報は断片的で、よそからもらうことはできませんでした。それがマイナカードを利用した方は、少し前の情報ですが病名や使っている薬が分かります。」
医療機関としては、初診でも患者が過去に処方された薬やほかの医療機関での診察内容を正確に把握できます。
さらに、意識がない患者を救急搬送した場合でも、マイナ保険証を読み取ることで、患者の説明が無くても、迅速に対応できるといいます。
一方で、マイナ保険証の移行に、医療機関や自治体職員の一部からは懸念の声が上がっています。
■福岡県歯科保険医協会 事務局・七里正昭さん
「福岡県内でもマイナ保険証トラブルが多発していますので、そのセーフティーネットとして健康保険証を残してくださいと訴えています。」
福岡県保険医協会などが県内の医療機関にマイナ保険証についてアンケートをしたところ、回答した医療機関の74%が「トラブルがあった」と答えました。
具体的には「名前や住所の誤表記」や「他人の情報とひも付く」などのトラブルがあったということです。
メリットと課題が入り交じるなか、マイナ保険証の移行はまもなく大きな節目を迎えます。
保険証について12月2日からどうなるのか、改めて整理します。
まず、これまで使っていた保険証は、12月2日で新規発行が停止となりますが、猶予期間があり、最長で2025年12月1日までは使うことができます。
国民健康保険や後期高齢者医療制度の場合は、保険証に書かれている有効期限を確認してください。
すでにマイナンバーカードに保険証の利用登録をしている人は、12月以降もマイナ保険証としてそのまま使えます。利用登録していない人は、スマートフォンや医療機関、薬局で登録できます。
また、マイナンバーカードを持っているものの利用登録をしていない人、マイナンバーカードを持っていない人は、「資格確認書」カードが自治体などから送られてくるので、保険証の代わりになります。
ご不明な点などは、お住まいの自治体の窓口にお問い合わせください。