コロナ禍や火事乗り越え 5年ぶりの祭り「江尾十七夜」 500年続く祭りで披露される踊りの継承に課題 「若手がなかなか入ってこない。(保存会)会員も年寄りが多いもので」 鳥取県江府町

コロナ禍などにより4年間開催されていなかった鳥取県江府町の「江尾十七夜」。毎年お盆の時期に開かれているこのお祭りは500年続いてきましたが、実は去年、町内で火事が発生して開催が見送られ、今年の開催は5年ぶりとなりました。
8月17日、鳥取県江府町で開かれた「江尾十七夜」。屋台が30店ほど並び、約8000人の観客が来場。駅前の本通りは祭を楽しむ人で埋め尽くされました。
来場者
「地元の方が兵庫の明石ですが、花火が上がらないんですよ。なので花火が楽しみです」
「子どもたちの太鼓が気になってます。なかなか機会がなかったんで初めて来れてよかったです」
毎年お盆の時期に開かれ、500年続いてきたこの祭。しかし、実は今年は5年ぶりの開催でー。
鳥取県江府町教育委員会事務局 川上 柊維 主任
「ずっとコロナ禍で。昨年は残念なことに火事があって(祭りが)できなかった」
コロナ禍での制限に加え、去年は開催が予定されるも火事が発生し急遽中止に。それでも今年ようやく復活することができたといいます。
鳥取県江府町教育委員会事務局 川上 柊維 主任
「(祭りが)休みになりますと再開するのは非常にエネルギーがいります。今年はこうやって盛大に開催することができるようなのでよかったなと思います」
■念願の祭開催…中でも見どころは
そんな記念すべきこの日、特に注目されていたのが、祭の代名詞「こだいぢ踊り」です。かつて江府町にあった江美城の城主を追悼しようと伝承されてきました。
鳥取県江府町教育委員会事務局 川上 柊維 主任
「夏祭りなので元々先祖の供養としての意味はあったんですけども、そこに亡きお殿様への供養という意味合いも重なって今日まで続いてきています」
■約500年前のドラマ…こだいぢ踊りの伝承とは
約500年前、伯耆の国(現在の江府町付近)にある江美城城主に、蜂塚氏という一族がいました。蜂塚氏は代々、盂蘭盆(うらぼん)の17日の夜になると城の門を開いて、農民や武士などの身分を問わずに踊りや力比べを開催。普段は恐ろしい武士とも触れ合えるこの祭りは、毎年の楽しみとして町民たちに愛されてきました。
しかし、4代目城主の蜂塚右ヱ門尉(はちづか・うえもんのじょう)の代のとき、江美城は戦火に包まれます。山陰地方を治める尼子家と、攻め込んできた毛利家による戦です。尼子家に与する蜂塚氏は、江美城が交通の要衝地だったこともあり真っ先に狙われます。毛利軍相手に奮戦するも、蜂塚氏は敗北。全員討ち死したと言われています。
その後は毛利氏が江美城に入りますが、蜂塚氏のころのにぎわいが忘れられない町民たち。
蜂塚氏をしのび、懐かしみ、お盆の17日の夜に集まって踊るようになりました。その集まりが現代の江尾十七夜になったと伝承されています。中でも、語り継がれる「こだいぢ踊り」は保存会が守り伝えています。