「市長は逃げているとしか思えない」松山市の土砂崩れ 初の住民説明会で批判相次ぐ
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去年7月に松山城の城山で発生した土砂崩れから7か月、松山市が初めて「住民説明会」を開きました。
これまでの市の対応に不信感が高まる被災住民。今回の説明会で市は、「緊急車両用道路の設計は妥当だった」と説明。住民からは「納得できない」と批判が相次ぎました。
昨夜、松山市内で開かれた住民説明会。土砂災害から7か月、市が初めて開きました。
去年7月12日、城山の北東の斜面で発生した土砂崩れでは、ふもとの住民3人が亡くなり、15棟の住宅が全壊または一部損傷となるなどの被害が出ました。
住民はこれまで繰り返し、城山を管理している松山市に説明会の開催を求めて要望書を提出してきましたが、発生から7か月以上経っての開催に…
住民:
「もっと早めに謝罪なりなんなり、亡くなった方おられるんだから、する必要があったんじゃないでしょうか」
住民:
「7か月は長すぎる。7か月の間にね、市長としてやるべきことがあったでしょう」
住民:
「市長は逃げてるとしか思いません。7か月を市長としてどう釈明されますか」
野志市長:
「災害の原因が分からないと責任のある対応ができませんので、技術検討委員会の検討結果が出るのを待っておりました。説明会がこの時期になったことについてはご理解を頂きたいというふうに思っております」
会では、技術検討委員会の最終報告で「斜面変形に影響を与えた可能性がある」とされた緊急車両用道路について、松山市は、専門家の意見をもとに当時の設計内容を確認したと説明。
その結果、設計や擁壁に使用したコンクリートの品質なども基準を満たしていて道路の設計・施工について“妥当だった”としました。
また、道路のひび割れなどには適切に対応してきたほか、今回土砂崩れが起きた現場が土砂災害警戒区域でないことなどから、こう結論付けました。
野志市長:
「本市として、本件災害の発生を予見したり、その結果を回避することは不可能であったと考えられますので、その管理に瑕疵があったとは言えず、従いまして、公の営造物が通常有すべき安全性を欠いていたとは言えませんので、国家賠償法に基づく賠償は難しいと判断しました」
【スタジオ】
松岡キャスター:
取材した杉本記者です。今回の説明会でのポイントを改めて教えてください。
杉本記者:
住民からの質問や意見が集中したのは、土砂が崩れた現場の上部にある『緊急車両用道路』についてです。この道路は、天守まで消防車や救急車が乗り入れできるようにと、市が2018年に整備した道です。
土砂崩れの発生前に、路面のひび割れや擁壁の傾きなどが確認されていて住民などからはこれまで土砂崩れとの関連を指摘する声が上がっていました。
この緊急車両用道路について、県が設置した技術検討委員会は先月30日の最終報告で、道路が土砂流出の起点となるような直接の影響を与えた可能性は低いものの、土砂崩れの前提ともいえる『斜面変形』に、道路の擁壁や盛り土の荷重が影響を与えた可能性があると結論づけました。
松山市はこの結果を受けて、土木工学に詳しい愛媛大学の矢田部龍一名誉教授に意見を聞きながら、『当時の設計や施工に問題がなかったか』を確認。
設計については道路構造令などを基準と照らし合わせて問題はなかった、
施工についても擁壁に使用したコンクリートの品質管理などすべて問題はなかったことを確認したとして、市はきのうの説明会で『設計・施工は妥当だった』としました。
この他、松山市は土砂崩れが発生した区域の災害前の状況などから、野志市長は、「安全性を欠いていたとは言えませんので、国家賠償法に基づく賠償は難しいと判断した」と述べました。
今回の松山市の説明に対し、住民からの意見です。
住民:
「県外からとか、第3者で全く利益関係がないところで検証はしてないんでしょうか」
住民:
「全くの関係のない第3者の意見というものを複数聞いて頂きたい」
住民:
「もう一回改めて言いますけど、 もう一回やってください。ほんとに」
市の担当者:
「松山市としてはきちんと検証ができていると思っております。以上です」
住民:
「だから第3者を入れてやってくださいって」
説明会では、このほか来年度中に完了を目指している復旧工事の進捗状況などについて市が説明しました。説明会を終え、野志市長は。
Q住民は納得したと思う?
野志市長:
「様々な方の様々な考え方があろうかと思いますので、受け止めも様々かと思います。できる限りの説明につとめさせて頂いたなと考えております」
Q説明をどう思った?
参加した住民:
「1ミリも納得できない。こちらの声っていうのはひとつも届いてないですよね。一番悔しいのは、こうやってほんとの原因をうやむやにされるっていうのが悔しいですよね」