物流の大動脈が運行停止 「輸送が滞ってしまう」収穫最盛期の農家は困惑 JR貨物の検査不正
(藤得記者)「国土交通省と北海道運輸局の職員4人がJR貨物輪西車両所に入って行きます」
午後1時ごろ、室蘭市にあるJR貨物の輪西車両所に特別保安監査に入った国交省の職員。
北海道と本州を結ぶ物流の大動脈を担う貨物列車の現場で、ある不正が明るみになりました。
(担当者)「不正行為を行っていることが明らかになりました。お客様ならびに皆さまに心よりお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした」
10日に国交省で会見を開いたJR貨物。
室蘭市のほか、神奈川県、広島県の3つの車両所で、貨物列車の組み立てに関する検査データに不正行為があったことを明らかにしました。
不正があったのは、車輪などを車軸にはめて「輪軸」を組み立てる作業です。
車輪などを押し込む際の圧力が基準を超えていたにもかかわらず、検査記録表には基準値に収まる数値に書き換えていたというのです。
(担当者)「作業を失敗すると少しコストの部分、部品の廃棄になることを(社員が)気にかけた」
(担当者)「もともとある程度の圧力が必要な作業なので、きっちりとしまっていることへの基準超えに対しての認識が甘かった」
不正が確認された車両は貨車560両と機関車4両で、室蘭の輪西車両所ではこのうちの半数以上の309両にのぼります。
さらに、11日になってからも調査が必要な車両がおよそ300両あることが判明。
全国のコンテナ車両7000両の運行をすべて停止しました。
検査で安全が確認できれば再開するとしています。
タマネギの生産量が全国一、収穫の最盛期を迎えた北見市です。
本州にタマネギを届ける通称「タマネギ列車」が輸送に重要な役割を担っていて、農家からは不安の声が聞かれました。
(タマネギ農家)「不正があったりしてJR貨物がしっかり機能できないと輸送が滞ってしまう。ある程度まとまった量を一気に出したい時期なので、JR貨物・タマネギ列車がないと不便」
今回の不正は、2024年7月にJR新山口駅で発生した貨物列車の脱線事故の原因を社内で調査する過程で発覚。
事故車両でも検査データが書き換えられた輪軸が使われていたということです。
不正行為と事故の因果関係は現在調査中です。
国土交通省は12日以降も特別保安監査を続け、不正の事実関係や安全管理体制について調べる方針です。