「娘の未来が一瞬で奪われた」被害者参加制度で父親出廷に被告は涙 札幌・タイヤ女児直撃事故
父親は法廷で「娘の未来が一瞬で奪われました」などと、いま心境を明かしました。
札幌市西区で2023年、走行中の軽乗用車のタイヤが外れ、女の子に直撃した事故の裁判で、検察は運転手の男に対し、懲役3年を求刑しました。
(女の子の父親)「事故当時、娘は4歳だった。あなたにも娘はいると思うが、(この状況を)考えたことはあるか」
(若本被告)「・・・何度も考えました」
事故にあった女の子の父親は自ら出廷し、被告の男に質問を続けました。
それは、いまも意識がない娘のためでもあります。
(女の子の父親)「娘はまだ小さかったですけど、正義感の強い子だったので。被疑者の人たちがちゃんと正しく罪に問われているのか自分で確認したい」
2023年11月、札幌市西区で走行中の軽乗用車のタイヤが脱落。
歩道を歩いていた当時4歳の女の子に直撃しました。
この事故で、道路運送車両法違反と過失運転致傷の罪に問われている若本豊嗣被告。
起訴状によりますと、若本被告は軽乗用車を不正に改造し点検を怠った結果、ナットの緩みに気づかないまま車を運転。
女の子にけがをさせたとされています。
5日に被害者参加制度で出廷した女の子の父親。
(女の子の父親)「どれだけの経済的な負担が生じるのか想像したことはあるか」
(若本被告)「いまの自分では払いきれない金額だと思います」
このまま女の子の意識が戻らなければ、将来的な自宅での介護や治療費は5億円以上。
市の養育手当があるものの、いまだに被告側の車の保険は適用されていません。
苦しい生活を続ける父親に対し、若本被告が涙を流す場面も見られました。
(若本被告)「なぜ点検しなかったのか、悔やんでいる。女の子に大変な思いをさせてしまい申し訳ない。仕事を探して賠償を一生していく」
検察は論告で「ナットの緩みの確認を怠り、安易に運転した過失は相当重大で悪質である」として若本被告に懲役3年を求刑。
弁護側は情状酌量を求めました。
一方この裁判では、ともに車を改造をしていた所有者の田中正満被告も不正改造の罪に問われています。
検察は「任意保険に入っていないことなど、所有者として非難されるべき」として20万円の罰金刑を求めました。
意見陳述で父親はー
(女の子の父親)「娘は警察官になりたいと言っていました。そんな娘の未来が一瞬で奪われました。受けたショックは言葉では言い尽くせないものがあります。正しく、重い刑罰を科してほしいと強く願っています」
精神的・経済的な苦しみは一生続いていくと訴えた父親。
裁判は5日に結審し、判決は4月24日に言い渡されます。