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映画『ドライブ・マイ・カー』濱口監督 “広島でのサポート役” に聞く制作秘話 苦労したのは「道路の許可」

2022年2月9日 21:50
映画『ドライブ・マイ・カー』濱口監督 “広島でのサポート役” に聞く制作秘話 苦労したのは「道路の許可」
(C)2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会 全国公開中 PG12

映画『ドライブ・マイ・カー』が、アメリカ・アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門にノミネートされたことを受け、ロケ地選定に携わったフィルムコミッションの担当者を取材。ノミネートの喜びや、濱口竜介監督との制作秘話を明かしてくれました。

今回、取材に応じてくれたのは、まだ台本ができていない段階からロケ地選びで作品に携わった、広島フィルム・コミッションの西﨑智子さん。フィルム・コミッションの仕事は、映画やドラマなどの撮影がスムーズに進むよう、地元でのロケ地を提案したり、エキストラを募集したり、また、映画関連のイベントなど企画・実施したりするなど、街と映画とをつなぐサポート役です。

作品賞など4部門ノミネートの快挙に、西﨑さんは「監督とかスタッフさん含めて、全員が真摯(し)に(作品に)向き合っておられたのでよかったなぁ~というか、うれしいですね」と、しみじみ喜びを語りました。

ノミネートの発表を受け、フィルムコミッションのホームページに公開している映画のロケ地マップの閲覧数が伸び続けているといいます。ゴールデングローブ賞など数々の賞を受賞したこともあって、現在の閲覧数は、33万9000回を超える大反響に。(2月9日午後4時時点)

また、今回の快挙を記念して広島市内で映画のパネル展を行うことが急きょ決定。(2月21日~広島銀行本店1Fトゥモロースクエアなどで開催)劇中で印象的な、真っ赤な車の原寸大パネルや、ロケ地紹介のパネルなどを展示する予定だということです。

■監督に「どこかおもしろい所に連れていって」と言われ…

西﨑さんは、濱口監督が初めて広島にロケ地視察に訪れた際に、驚いたことがあったそうで「(監督が)最初に来られたときに“どこかおもしろい所に連れていってください”と言われて、何の脈略もないんですけど。どうしていいかわかんないので、とりあえず自分の好きなところにってご案内して。そこの場所が決め手になって広島を選んでくださったんですけど」と明かしました。

その場所が、ごみ焼却施設の広島市環境局中工場。三浦透子さん演じる、みさきのお気に入りの場所として映画に登場する場所で、世界的建築家・谷口吉生さんが設計した美術館のようなたたずまいの建物です。

■ロケ地選びで苦労したのは“長いセリフ分量にあてはまる道路探し”

また、タイトルが『ドライブ・マイ・カー』というだけあって、ロケ地選びで苦労したのは、車のシーンを撮影する場所だったといいます。

「(苦労したのは)道路の許可とかですね。車のシーンが多いので。道路も提案していくんですけど(監督が)“ここのセリフ分量にあてはまるところを”みたいな。(セリフが)長いんですよ、会話劇なので。信号で止まったりする所はダメなので。このセリフの量で走りきれるトンネル、とか」と、監督からの要求に応えられる場所を見つけるのが大変だったと明かしてくれました。

3月の授賞式は、なるべくライブで見たいと語った西﨑さん。受賞への期待に胸を膨らませていました。