昭和10年に制定『直木賞』 第172回の候補作は5作品 木下昌輝は4度目のノミネート
■朝倉かすみ『よむよむかたる』
朝倉かすみさん(64)の『よむよむかたる』は、著者の母が参加していた「読書会」の風景がきっかけで生まれた小説です。
朝倉さんは、北海道小樽市生まれ。2004年『肝、焼ける』で第72回小説現代新人賞を受賞し作家デビューしました。『平場の月』が第161回直木賞の候補作に選ばれていて、今回で2度目のノミネートとなります。
■伊与原新『藍を継ぐ海』
伊与原新さん(52)の『藍を継ぐ海』は、全5篇が収録された短編集です。徳島の海辺で祖父と暮らす中学生の女の子、奈良の山奥でフリーランスのwebデザイナーとして働く女性などが登場し、“大切なことを引き受け、伝えることの大切さ”を描きます。
伊与原さんは、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年『お台場アイランドベイビー』で、横溝正史ミステリ大賞を受賞。『八月の銀の雪』で第164回直木賞の候補作に選ばれていて、今回で2度目のノミネートとなります。
■荻堂顕『飽くなき地景』
荻堂顕さん(30)の『飽くなき地景』は、刀に隠された一族の秘密と愛憎を描く物語です。
荻堂さんは、東京都出身。早稲田大学文化構想学部卒業。2020年『私たちの擬傷』で第7回新潮ミステリー大賞を受賞。2021年1月、同作を改題した『擬傷の鳥はつかまらない』を刊行し、デビューしました。今回が初のノミネートとなりました。
■木下昌輝『秘色の契り 阿波宝暦明和の変 顚末譚』
木下昌輝さん(50)の『秘色(ひそく)の契り 阿波宝暦明和(あわほうれきめいわ)の変 顚末譚(てんまつたん)』は、現代にも通じる政治改革と、経済立て直しを目指す藩主と家臣の奮闘を描いた物語です。
木下さんは、2012年『宇喜多の捨て嫁』で第92回オール讀物新人賞を受賞。同作で第152回直木賞候補となり、今回で4度目のノミネートとなりました。
■月村了衛『虚の伽藍』
月村了衛さん(61)の『虚の伽藍(きょのがらん)』は、燈念寺派を正道に戻すため、あえて悪に身を投じる若き僧侶・志方凌玄の姿を描く物語です。
月村さんは、早稲田大学第一文学部卒業。2010年『機龍警察』で小説家デビューしました。『香港警察東京分室』が第169回直木賞の候補作に選ばれていて、今回で2度目のノミネートとなります。
受賞作は、2025年1月15日に発表される予定です。