「めっちゃ映える」クリームソーダで太宰治の小説を表現 出版業界を盛り上げるアイデア
丸善ジュンク堂書店が手がける同フェアは、日本各地を旅しながらクリームソーダなどを創作する『旅する喫茶』のtsunekawaさんとのコラボにより実現。丸善 丸の内本店の『エムシー・カフェ』で提供されています。(神奈川・京都でも実施)
■「出版業界が不況の中で…」アイデアで盛り上げる
スイーツと文学という異色のコラボ。その経緯を、丸善ジュンク堂経営企画部・部長の工藤淳也さんに聞いてみると「出版業界が不況の中で、いろいろな著者やクリエーターさんと組んでグッズを作ったりイベントを作ったり、事業として立ち上げている」と話し「書店員のアイデアの中で“こういう方と組んだらおもしろい”っていうアイデアを集めたんです」と出版業界を盛り上げたい思いがきっかけだったと話します。
コラボとして展開されたのは5つの文学作品。梶井基次郎『檸檬』、室生犀星『蜜のあわれ』、太宰治『女生徒』、坂口安吾『桜の森の満開の下』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』です。
工藤さんによると、tsunekawaさんのクリームソーダは“食べていく中で表情が変わる”のが特徴だそうです。例えば、ある女生徒の、朝起きてから夜寝るまでの一日を描いた作品『女生徒』をイメージしたクリームソーダについて工藤さんは、「最初はピンクと水色で思春期の鮮やかさを表現しつつ、作品の中ですごく印象的な、夕焼けのシーンをクリームソーダで表現している」と説明し、「これが混ざると紫色に変わっていくんですが、夜の景色に近づいていくっていうのが表現として見えてきて。作品を読んでいる時の心理描写の変化を世界観として表現できる」と内容と見た目をリンクさせた仕掛けを明かしました。
■太宰治『女生徒』は「青春の味」
実際に、太宰治『女生徒』を飲んでいたお客さんは「もともと文豪が好きで、今回も好きな文豪さんの作品がクリームソーダになるって聞いて、めっちゃ映えるしいいじゃん、っていう感じで来ました」と話し、「(作品『女生徒』のように)甘くて女の子っぽいなって。青春の味っぽくて私はすごく好きです」と笑顔を見せました。
梶井基次郎『檸檬』のクリームソーダをチョイスしたお客さんは「『檸檬』は読んだことがあって、ちょうど丸善さんが舞台ということでゆかりのものなのでいいなと思って。檸檬の話をイメージして、レモン汁を入れたら(味や見た目に)変化が起こるのは、工夫がされてていいなと思いました」と変化を楽しんでいました。
また、室生犀星『蜜のあわれ』のクリームソーダを選んだお客さんは、「大正とか昭和のそれこそ文豪といわれる方の作品が大好きで。でも今回頼んだ『蜜のあわれ』は読んだことなくて、まだ読んだことがないので興味があって、どんなイメージで作ったのかな」と話し、「これから読んでみて答え合わせっていう感じですね(笑)」とクリームソーダが作品に触れるきっかけになったことを明かしました。
クリームソーダは前半と後半で、それぞれ提供される種類が異なります。(各税込み1200円)
8月3日(木)〜8月27日(日):『檸檬』『蜜のあわれ』『女生徒』
8月28日(月)〜9月24日(日):『女生徒』『桜の森の満開の下』『銀河鉄道の夜』