奥平大兼、新人賞総なめ映画デビューから2年 不安だった高校生役「今の高校生がどういう感じなのか分からない」
奥平大兼さんは2020年に映画『MOTHER マザー』で俳優デビュー。演技未経験でありながら、母親とともに社会の闇へと落ちていく少年・周平を見事に演じ、第44回日本アカデミー賞、第63回ブルーリボン賞などの新人賞を総なめにしました。
それから約2年の月日が経ち、奥平さんは今年高校卒業を迎えます。今後は仕事に専念する予定で、5月6日には映画『マイスモールランド』も公開予定。役者としてさらなる1歩を踏み出す今、演じることへのひたむきな思いを語ってもらいました。
■高校生役に「大丈夫かな」と不安も
この1年間は、Z世代向けドラマ『卒業式に、神谷詩子がいない』など、高校生役が多かった年でした。現役高校生として役に共感できる部分が多いと思いきや、返ってきた答えは意外なもので――
――高校生の“役作り”はいかがでしたか?
実は、今っぽく、高校生っぽくできるのかなという不安はありました。あまりちゃんとした高校生活を送ってこなかったので(コロナの状況や、お仕事の関係で)、今の高校生がどういう感じなのかが分からなかった。そこだけは「大丈夫かな?」と思っていました。
――撮影は楽しかったですか?
芝居をするのがめっちゃ楽しかったですね。台本を見たときに「これはどうなるんだろう?」って思って。僕は台本の時点だとあまり想像ができないので、どうなるのかを考えながら現場に入って、監督さんとかと話しながら、共演者の方のリアクションを受けて芝居をするので楽しいですね。
――キャストの方とはどのような話をしますか?
僕は映画を全然知らないので、共演してくださった方に「おすすめの映画はありませんか」と聞きました。あとは趣味の話や音楽の話もしました。ドラマで共演した北村一輝さんは役者の先輩という感じの人でいろいろなことを丁寧に優しく教えてくださって、勉強になったことがたくさんあります。
■長いセリフへの恐れがなくなった
現在放送中の朝のショートドラマ『サヨウナラのその前に』では、高校生の椿木宙(つばき・そら)を演じています。隕石衝突による地球最後の31日間を描いたドラマで、宙は両親が姿を消すという、悲しい事情を抱えています。
――演じてみて気づいたことはありますか?
ドラマと設定は違いますけど、コロナ禍とリンクする部分がありましたね。滅亡とはいかないまでも、人と会いづらくなったり、生活に対しての価値観が変わったりしたので、人と人との関わりや、普通であることがどれだけ幸せなことなのかを、宙を演じてみて分かりましたね。
――1話が約8分のドラマです。1時間ドラマの撮影とは違うものですか?
いつもだとドラマと映画の違いなどは分かるんですけど、今回は映画とすごく似ていると思いました。僕の感覚ですが、すごく映画っぽいと思いましたし、お芝居もいい意味でドラマっぽくないと思いました。
――映画的な魅力を感じたんですね。
8分間なのでシーンが長いんですよね、一話一話が。セリフも覚えることも多く、そういうところは大変だったんですけど、その分、やったら楽しかったんです。いいですね、長いシーンは。今まではセリフが多いというのが怖かったんですけど、この現場ですごく好きになりました。