『いい人すぎるよ展』『友達がやってるカフェ』などを手がけるヒットメーカー・明円卓が分析する“流行”
明円さんは、大学卒業後、株式会社電通へ入社。CMプランニングやコピーライティングを軸に統合コミュニケーションプランナーとしてCM『意識高すぎ!高杉くん』シリーズ(KDDI)などを担当していましたが、2020年に退社。現在は、クリエーティブディレクターとして“新しい体験作り”を手がけています。
2023年の流行について明円さんは「体験といったものが一つブームになっているのかなと考えています」と語ります。その背景について「コロナ禍を経て、リアルに遊びに行ける場所があるとか、人と会うことの大切さとか、その場所に行くことの大切さみたいなところが改めて見直されたことが、一つ体験ブームを作ったのかなと思いますし、そういったものが実際にはやっているのかなと思います」と分析しました。
さらに「個人的な考えとしては、メディア環境が体験ブームを後押ししているというふうに考えています。どのSNSプラットフォームも今、ショートムービーをすごく大切にされているので、この体験といったものとショートムービーというのがすごく相性がいいのかなと思っています。実際に誰かが体験している様子を、ムービーや写真に撮って収めて、それがSNSで広がることによって、新しいお客さんがどんどんどんどん増えていく。そんな効果が生まれているのかなと思います」と語ります。
■友達感覚のカフェでは“新しい顧客体験”を創出
“新しい顧客体験”を創出するため、明円さんが4月にオープンさせたのが、まるで友達のアルバイト先に遊びに行ったような体験ができる『友達がやってるカフェ/バー』です。店内に入ると、店員に「お~いらっしゃい。来てくれたんだ」と、タメ口で手を振りながら出迎えられます。
さらに、メニュー名にも“友達感覚”を楽しむ工夫がなされていて、「大変そうだから、すぐ出せるので大丈夫だよ(ドリップコーヒー)」や、「店員さんの間で一番人気なのってどれ?(クリームソーダ)」、「さすがにラーメンとかって無いよね…?(チキンラーメン)」などと、バイト中の友達に話しかけるようなセリフがメニュー名になっています。
明円さんが一番大切にしているのが「他にない」「新しい」などといった体験だといいます。「共感とかSNSでどういうふうにみんなが反応してくれるというのはすごく大切にしています。やはり共感の数だけいいねが押されて、遠くに広がっていくといったところはすごく大事にしているポイントです」と語りました。
■「SNSでシェアした時にどんなコミュニケーションが生まれるのか」
さらに6月に手がけたのは、『メニューをこっち向きに見せてくれる人』や『“トイレに行ってくるね”と言うと荷物をスッと持ってくれる人』など、日頃の何気ない“いい人”たちにフォーカスした『いい人すぎるよ展』です。
展示会は、事前販売されていた2日分のチケット(2800枚)が即完売し、追加開催するほどの人気に。会場では、共感しながら写真を撮る人や、展示されている“いい人”に当てはまる人を思い浮かべながら楽しむ人など様々な楽しみ方が見られました。
明円さんは、その場の体験だけではなく、“その後”も見据えているといい「何かを体験して、それだけで終わりじゃなくて、SNSと若い方のライフスタイルというのは密接につながっていると思うので、それをSNSでシェアした時にどんなコミュニケーションが生まれるのかといったところまで大切にしている」と明かしました。
■2024年の流行も「ショートムービーを真ん中に置いた体験」
2024年は、どんなブームが来るのか予想してもらうと「自分はブームとメディア環境というのがすごく密接につながっていると思うので、例えば、テキストウェブの時代から画像のウェブの時代になった時は、インスタグラムの映える写真がブームになったと思いますけれども、今は5Gがみんなに浸透したこともあって、ムービーを気軽にシェアできるようになり、ショートムービーの時代が来た。2024年も、そういったショートムービーを真ん中に置いた体験といったものはブームが続いていくのかなと思いますし、もっともっとテクノロジーとか通信環境というのが成熟していくと、それがもっともっと通信量の多いメディアが発達していくのかなと思います。具体的にいうと、メタバースの世界ですとか、そういったものが2024年といったところはちょっとまだわからないですけど、今後はそうなっていくのかなと思います」と予測しました。
今後について明円さんは「2024年も新しい体験作りをしたいというのは変わらないので、新しい飲食店作りですとか、新しい企画展、そういったものを今後も作っていければなと思っています」とし「イマーシブ体験、没入型体験みたいなものがどんどんどんどん一般化していくのではないかなと考えているんですが、そういったイマーシブをコンセプトにした、飲食体験レストラン等をこれから作っていきたいなと思っております」と明かしました。