中村芝翫「子供のころ見た弁慶はヒーロー」
歌舞伎俳優の中村芝翫さんが5日取材に応じ、歌舞伎座『六月大歌舞伎』(〜28日千穐楽)第一部「御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」の見所を語ってくれました。
歌舞伎十八番より以前に作られた「御摂勧進帳」は、武蔵坊弁慶が勇猛かつ稚気のある役として描かれ、おおらかな江戸歌舞伎の味わいに満ちた演目です。
7年ぶりとなるお役について「3回やらせていただいていますけど、うまくできるか出来ないかは別としてセリフとかは体に入っています」と話し「歌舞伎十八番の勧進帳が一番みなさん頭に思い浮かべると思いますが、あれはきっちりと出来上がった物、この御摂勧進帳はくだけた感じの柔らかみのあるものですからね、深く考えず歌舞伎のだいごみとしてご覧いただける作品ではないかと思いますよ」と話しました。
今回勤める武蔵坊弁慶は、印象深いお役だという芝翫さん。「最初に拝見したのが(二代目尾上)松緑のおじさまの御摂勧進帳なんですけど、その時に僕は歌舞伎が大好きだったからかもしれないですけど、松緑のおじさまの弁慶なんていうのは、当時の戦隊もののヒーローでしたからね、本当スーパーマンでしたから、なんて格好いいんだと思いました。歌舞伎をご覧になる初心者の方がご覧いただいてもいいですし、お子さんなんか見ていただいたら、バカバカしくて面白いと思いますよ」と語ってくれました。
また「やっぱり舞台へ僕ら上がらせていただくとやっぱりそこが居場所であるなと実感とともに喜びがありますよね。劇場が揺れるような、客席が揺れるような喝采を頂戴して成駒屋って大向こうがかかる舞台に立てるのが、いつその日が戻ってくるのかっていうのが感じますよね」としみじみと話してくれました。