坂本龍一さん追悼コンサート キャプテンは演奏中に涙 「それも音楽ということで」
『東北ユースオーケストラ』は、東北の復興支援を目的に坂本さんが立ち上げたプロジェクト。2013年に宮城県で開催された音楽祭をきっかけに結成されました。楽団員は、東日本大震災の被災三県(岩手県・宮城県・福島県)を中心に小学生、中学生、高校生、大学生を対象に、構成されプログラムごとに楽団員の編成を変えながら活動しています。
今回は、去年亡くなった坂本さんの追悼公演と題し、3月23日の岩手公演、24日の宮城公演、30日の福島公演、そして31日の東京公演が行われました。さらに、東京公演では元日に発生した能登半島地震の被災地である富山県の氷見市でのライブ配信も行われました。
■コンサート開演前 「監督の思い・意志を音楽を通して伝えられるように」
一方、柳澤さんは「1年間ずっと坂本監督を意識して、常に坂本監督の気があったというか。監督の思い・意志を音楽を通して伝えられるように頑張りたいと思います。坂本監督は、音の響きにすごく気を使っていたので、一つの音にどれだけの思いがあるかみたいな。そういうところを聴いていただけたらうれしいなと思います」と坂本さんへの思いを明かしました。
本番が始まると、東北ユースオーケストラのために書き下ろされた楽曲『いま時間が傾いて』や、映画『戦場のメリークリスマス』の楽曲『Merry Christmas Mr.Lawrence』、そして『The Last Emperor』など、坂本龍一さんの名曲を東北ユースオーケストラが次々と演奏。さらに、坂本さんが音楽担当を務めた、吉永小百合さんと二宮和也さん共演の映画『母と暮らせば』の楽曲にのせ、吉永さんが詩の朗読を行うなど、全編坂本さんの楽曲で構成され、アンコールを含めた14曲が披露されました。
■コンサート終演後、改めて感じた坂本龍一さんの存在
公演を終えた海津さんは、「本当に坂本監督が降りてきたんじゃないかっていう一体感があって、自分が演奏していて感動しました。後ろのモニターに映った坂本監督が、僕のトロンボーンのベルに映っていて、涙が出ちゃって吹くのが大変でした。泣いたことで演奏に支障が出たかもしれないけど、それも音楽ということでいいんじゃないかなと思います」とコンサートで感じた坂本さんへの思いを明かしました。
指揮者の柳澤さんも「坂本さんが近くにいる感じで、みんなそんな感じだったと思います。(坂本さんの楽曲は)音の数とかすごく少ないんですけど、一音一音の響きを大事にして。そんなところが坂本さんの教えだったんだなって改めて感じました」と坂本さんの存在感を強く実感していました。
最後に、“坂本さんへ送りたいメッセージ”を聞くと、海津さんは「東北ユースオーケストラを作ってくださり、本当にありがとうございます。僕が大失敗したときに監督が慰めてくれていなかったら、今の僕は存在しないかもしれません。本当に感謝しています」と感謝の気持ちを伝えました。
そして柳澤さんも「坂本さんと最後にお話ししたのは、3月26日で亡くなる2日前なんですけども“ここはこういうふうに、ああいうふうに”って指導をたくさん受けました。去年できなかったことを、今年は改善してうまくいったところがすごくあったので、ゆっくり心を整理してから坂本さんに伝えたいなって思います」と思いを明かしました。