芳根京子“Z世代らしさ”どう考える? 同年代の記者役演じて気づいた「“私は私”」
■自身もZ世代 でもはじめて考えた“Z世代らしさ”
日本テレビ開局70年スペシャルドラマ『テレビ報道記者 ~ニュースをつないだ女たち~』(3月5日 午後8時から放送)は、昭和から平成、令和へと移り変わる時代の中で、道を切り開いてきた女性記者たちの生きざまと報道の舞台裏を描く40年の物語。芳根さんが演じるのは、2019年に日本テレビに入社し、慣れない取材に悪戦苦闘しながら働くZ世代の記者、和泉令(いずみ れい)です。
芳根さん自身も1997年生まれのZ世代。認識はしていましたが、この役を演じるにあたってはじめて“Z世代らしさ”について考えたといいます。
■「タイパっていう言葉も実は知らなくて…」“無駄”もいつか役に立つのが役者
Z世代らしさの一つとされるのが、かかる時間に対する効果「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する考え方です。芳根さんが演じる和泉は、ニュース番組の企画を思いついても、実現のハードルが高いとわかると「無駄になる可能性が高いなら、がんばれないです。他のことに時間使った方がいいし」と、“タイパ重視”の発言をする場面があります。
――タイパを重視する和泉の考え方について、芳根さん自身はどう捉えましたか?
私、“タイパ”っていう言葉も実は知らなくて。言っていることはめちゃくちゃ分かります。無駄になることなんてみんなやりたくないじゃないですか。それを言葉に出すか、心で思っているかの違いであって、和泉は出すタイプ。私、芳根京子自身は出さないタイプ。
でも、私は無駄になることは何もないと思っている派でもあって。役者っていう仕事はどんなことが起きても、いいことも悪いことも全部いつか役に立つと思っているから。無駄な時間も楽しかったらいっか!みたいなタイプです。
■怒ったり悲しんだりするのは、非効率的?
芳根さんはZ世代の役を演じて、「和泉という要素が数滴あれば楽だろうな」と感じた部分があったといいます。それは、メンタルの負担を効率的に減らそうとするところです。
――和泉は「他人は変えられないから」と、悪口は“不毛”だと言います。芳根さんはこのような和泉の考え方に共感しましたか?
やっぱり人間、人それぞれだから、違う意見をそれぞれが持っているのは当たり前で、だからその意見がぶつかることっていうのも当たり前で、「この人好き」「この人嫌い」って思うのもすごく自然な流れ。
落としどころが私は見つけられたというか。「人に期待をしない」っていうのがすごくネガティブな言葉のように感じるけど、私は自分を守るすべだと思っていて。「裏切られた」って思った時って、自分が「こうしてくれるだろう」っていう勝手な思いを持っていたから、「裏切られた」(と感じる)。“それって私が悪いじゃん”って思ったんです。そういうふうに考えられたら、ちょっと楽になる。
怒りの感情とか負の感情って、それを捨てられたら楽なこと多いだろうなって思ったりするから、和泉の方が私より (メンタルの効率化においては) 全然上回っている感じがしています。でも、効率的に生きることが全てでもないから、効率だけで考えたら私は自分の人生を楽しめないかなと思います。
■「“Z世代の私”ではなくて、“私は私”」…芸歴10年で芝居に意欲
――ドラマなどの制作現場には、まだまだZ世代は多くはありません。Z世代当事者として、どうしていきたいですか?
この仕事を始めて、大人の方々に囲まれて過ごしていく中で、ちょっとずつ自分の意見を聞いてくれる、求めてもらえているって思う現場が増えた時に、その主語は“Z世代の私”ではなくて、“私は私”であって。だから「私はこう思っている」って意見することが大事。
“Z世代だから業界を、ドラマ・映画の現場をこういうふうに変えていきたい”って思っている先輩・同世代でもいらっしゃるとは思うんですけど、私の考えとしてはそこまで広くまだ自分では考えられなくて。もっと目の前の現場を、目の前の作品をどうよくしていくか。一個人として、芳根京子は作品に対してどういうプラスなパワーを出せるかっていうことばかり今はまだ考えています。私たち(俳優)は色んな部署がある中で、お芝居をすること、それを表現することが仕事だから、より良いパフォーマンスをするということが今、一番大事なことだと思います。