ジブリ作品の主人公はなぜ女性が多い?あの名作と愛媛の関わりは…鈴木敏夫プロデューサーが語る作品づくり
宮﨑駿監督の『君たちはどう生きるか』がゴールデングローブ賞で、日本初のアニメ映画賞を受賞するなど改めて世界でも注目を集めるジブリ作品。
現在、愛媛県美術館では「鈴木敏夫とジブリ展」が開催中です。この展覧会の見どころを鈴木敏夫プロデューサーご本人に聞きました。
あの名作と愛媛の驚きの事実も明かしました。
愛媛県美術館で開催されている「鈴木敏夫とジブリ展」。スタジオ・ジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんが幼少期から今までに出会った映画作品や書籍の展示、スタジオジブリの誕生秘話などを楽しむことができます。
その魅力を鈴木敏夫さん本人が語ります。
「僕の後を追いかけるとジブリの歴史が見えてくる。僕が見た映画や本が、僕らが作る映画にも影響を与えている。そういうものも行っていただくと、手に取って見ることもできるので、ぜひ見て頂きたい」
常に“時代”を反映してきた作品づくり
プロデューサーとしてスタジオ・ジブリの作品に携わってきた鈴木さん。
「時代」という大きなテーマに常に向き合ってきました。
「作品というのは時代を無視して作れない。やはり時代を反映する。ジブリ作品はなぜ主人公が女性なのかよく聞かれるんですよ。振り返って調べてみると、ちょうど平成元年の頃に『魔女の宅急便』なんですよね。そこから約30年、主人公のほとんどが女性。女性の自立の問題が出てきて大きく様変わりする。一方、男たちはおとなしくしていた。そういう時代の恩恵に預かって映画を作っていたんだと思い知らされた」
「令和という時代になって何を作ったらいいか。今の時代って何だろうと、それで宮﨑が案として出してきたのが『君たちはどう生きるか』なんですよ。そんな風に見て頂くと面白いかもしれないです」
宮﨑駿監督と訪れた愛媛では
また、あの名作と愛媛との関わりで驚きの事実も話して頂きました。
「愛媛は僕と宮﨑がかつて道後温泉を訪ねたことがあります。当然それは、『千と千尋の神隠し』に影響を与えました。『もののけ姫』の後じゃないかな。そこで見たものが『千と千尋の神隠し』でやることになって」
なんと道後温泉が、『千と千尋の神隠し』の誕生に大きな影響を与えたということ。
「道後温泉の部屋に寝っ転がるのは楽しいですよね。宮﨑と2人で色んなことを喋っていた。一緒に行って良い思い出が残っています」
さらに、松山城を舞台にした作品の構想秘話も明かしてくれました。
「松山城は僕と宮﨑の2人で『ここを舞台に恋物語をするといいよね』と。そんなことを考えていた。あんまりお客さんがいなかったのがまた良くて、じっくり歩いたのを覚えてますけど。普通の女子高生と男子高生の恋物語。宮﨑はそういうのが好きだから。お城というと昔は恋が生まれるところだったんですよ。だから、それをちゃんとやると良いですよね」
「鈴木敏夫とジブリ展」は1月28日まで、愛媛県美術館で開かれています。