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「NFT」はコンテンツ大国日本に勝機!?

2022年1月3日 12:00
「NFT」はコンテンツ大国日本に勝機!?

2021年、「NFT」という言葉が一気に、世界に広がりました。「実物」のない「データ」に大きな価値を与えた「NFT」。コンテンツ大国の日本にとって大きなチャンスとなるのでしょうか?


■瞬く間に世界中に広がった「NFT」

2021年3月、あるオークションが世界的に話題となりました。アメリカ人アーティストによるデジタルアート作品が、なんと約75億円という高額で落札されたのです。同じ3月、ツイッター社の共同創業者が投稿した“世界初”のつぶやきのデジタルデータに、約3億円の値段がつきました。そして、唯一無二のデジタル資産を証明する「NFT」という言葉が瞬く間に世界中に広がりました。

■「NFT」とは

「NFT」とはどういうものなのでしょうか?

NFT(Non-Fungible Token)は日本語に直訳すると「非代替性トークン」、つまり「代替が不可能なしるし」のことです。実物ではなくデータの状態のものに価値をつけたのが、新たな認証技術「NFT」です。デジタルデータは簡単にコピーができるため、「世界初のつぶやき」も、どれが“オリジナル”なのかを判断することはほとんど不可能でした。そこに暗号資産に使われる「ブロックチェーン」といわれる技術を使って「NFT」をつけることで、オリジナルのつぶやきであることが証明できるようになったのです。

「世界にひとつの価値」に億円単位の価値がついた2つの高額オークションの影響もあり、「NFT」の市場は世界で一気に拡大。唯一無二という「希少性」を求め、「デジタルアート作品」が高値で取引されるケースが相次ぎました。さらには、スポーツのファンマーケティングにも「NFT」が広がり、アメリカのNBAが発行するスター選手のデジタルトレーディングカードに数百万円から数千万円の値段がつきました。将来的に価格が高騰するといった期待から、投資目的での取引も増えているといいます。

■あいつぐ「NFT」参入企業

日本でも、2020年から暗号資産の取引所や一部のゲーム会社や出版社などが、「NFT」に対してビジネスの関心を寄せていて、「NFT」の市場は2021年に入り急速に拡大しました。

国内の市場をけん引しているひとつ、暗号資産などを扱うコインチェックは、「NFT」のついたデジタルコンテンツを売買できるサービス「Coincheck NFT」を2021年3月にスタート。暗号資産の口座を開設すれば、スポーツやゲームなどの分野のNFT付きコンテンツを簡単に売買できるということです。

コインチェックNFT事業の責任者で執行役員の天羽健介氏は、取材に対し「NFTは、ゲームやアート、スポーツ、芸能など幅広いエンタメ・コンテンツ分野で一個人か企業かにかかわらず活用できる。また、最近Facebookが社名をMetaに変更したことで話題となったメタバースは次世代のSNS。メタバース上で使われるモノ・サービスがNFTとなる可能性もあり、さらなる市場拡大が見込める」と話しています。

コインチェックは今後、「メタバース」上で試着できる「デジタルファッションNFT」、デジタル上のドレスそのものの所有権をNFT化することなどで市場の拡大を図ります。そのほか、Zホールディングス傘下の「LINE」やIT大手のGMOインターネットなども「NFT」事業への参入を表明。

また、メルカリは2022年からプロ野球のパ・リーグと協力して選手の名場面の試合映像といったデジタル映像の販売を始めます。購入者は自分の好きな選手の希少価値のある限定映像をコレクションすることができるということです。来年をめどにデジタルデータの取引専用のプラットホームの提供も検討していて、ゲームやアニメなどのコンテンツも展開していきたいとしています。

■コンテンツ大国日本に勝機!?

今後、さらなる市場の拡大が見込まれるNFTですが、日本では法務や税務の面などでルールが明確になっていないと言われています。「NFT」ビジネスを加速させるためには政府による法整備や、事業者によるルール作りが早期に求められます。世界に誇るアニメやゲームなどコンテンツ大国の日本にとって、デジタル上で世界を圧倒する切り札となるのか?「NFT」には大きな勝機が秘められています。

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