排水口に捨てた食品「食べてみろ」 “カスハラ”の実態…上司が我慢強要も コンビニは「名札」で対策?
コンビニの「ローソン」は、カスタマーハラスメント、いわゆる“カスハラ”対策として、店員の名札を「イニシャル表示」にすることを新たに導入しました。5日に発表された“カスハラ”の調査報告書では、理不尽な行為が次々と明らかになりました。
news zero 山本里咲フィールドキャスター
「客からの迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント。みなさん、実際どのような経験があったのか、聞いてみたいと思います」
“カスハラ”被害を受けた 飲食店勤務(30代)
「お酒を飲まれた方からは、どうしても強く言われたり…」
山本里咲フィールドキャスター
「どのように対応されるんですか?」
飲食店勤務(30代)
「その場で、ちょっとなだめながら、落ち着いていただくっていう」
“カスハラ”被害を受けた 以前に予約センター勤務
「飛行機がコロナの影響で欠航してしまったときとかに、本来用意できる範囲以上の補償を求めてきたり…金銭的な要求が多かったかなと思います」
ホテル勤務の男性は…
“カスハラ”被害を受けた ホテルのフロント勤務(20代)
「スキー場は(ホテルとは)まったく関係ないところなんですけど、そのスキー場が休みで(客から)『近くの情報、HPに載せておけよ』とか。怒りのまま、なかなか解決できなかったのがすごく心残りでした」
5日、飲食・ホテルなどサービス業が加盟する労働組合「UAゼンセン」が、“カスハラ”の実態調査を報告しました。
労働組合「UAゼンセン」の会見
「我々はどうしても『お客様は神様です』というような考えのもと、顧客対応しております」
直近2年以内に、約半数(46.8%)が“カスハラ”を経験しているといいます。
アンケートには、耳を疑うような体験談も。たとえば…
【“カスハラ”実態調査より】
「『女のくせに』と暴言を吐かれ、後日…木刀を持って再来店され、非常に恐怖を覚えた」
さらには、こんな理不尽な“カスハラ”も──。
鍋の具材を購入した客から「不良品だ」とクレームが入り、新しい具材と交換すると…なぜかそれが、排水口に捨ててあり…
【“カスハラ”実態調査より】
「食べてみろ」
そう言われ、水切りネットから取り出して食べて問題ないことを証明させられたといいます。
飲食店のケースでは、食事を終えた客に、デザートを持ってきていいか聞くと…
【“カスハラ”実態調査より】
「うるせえ! いま話してるだろうが! てめぇ、ぶっ殺すぞ!」
こう怒鳴りつけられましたが、客に会話をしていた様子はなかったといいます。
また、“セクハラ型”として、客から「勝手に写真を撮られる」、「テーブルに行くたびに腕を触られる」といった事例も報告されています。
こうしたなか、“カスハラ対策”に乗り出す企業も…。コンビニのローソンで、店員の名札に書かれていたのは、名前ではなく「TK」という“イニシャル”でした。
ローソン 人事担当者
「実名を不特定多数にさらすということについての、不安感・負担感が大きい。働きがいとか、働きやすさ、安心してというところを、期待を込めてやらせていただきました」
この取り組みに、客からは容認する声が聞かれました。
コンビニ利用客
「イニシャルであることに、お客さん側としては別に困らないかなと」
コンビニ利用客
「どちらが上とか下とかはないので、お互いに対応できたらいいと思います」
また、ファミリーマートは、本名ではない「仮名」の表記を認めています。たとえば、本名「ふじい」さんが、「さとう」さんと名乗ってもよい、ということに。
こうした企業がある一方で、本来、従業員を守るべき上司に、“裏切られる”というケースも──。
5日に発表された別の民間の調査では、“カスハラ”を上司に報告・相談したものの、「我慢することを強要された」・「相手にしてもらえなかった」といった、いわゆる“セカンドハラスメント”を経験した人が、約4人に1人いたこともわかりました。
(セカンドハラスメント経験:約25.5% パーソル総合研究所調べ「カスハラ被害経験者3000人を対象に調査」)
カスハラを受けても、“あまり上司に相談しない”という20代の男性は…
営業職(20代)
「(上司から)『カスタマーハラスメントって何?』、『自分たちの時は、怒鳴られたのが当たり前だよ』と言われちゃう…というのもあるのかなと」
こうしたこともあってか、労働組合「UAゼンセン」の調査では、被害を受けた人の4割近くが「謝り続けた」と回答。全体の約4割以上が「企業で特に対策はなされていない」と答えています。
労働組合「UAゼンセン」の会見
「企業が“カスハラ”被害を防止するための対策を義務づける法制化…今後も求め続けていく」
もし、カスハラに悩んだら──?
厚生労働省が業務委託している「ハラスメント悩み相談室」がメールやSNSで相談を受け付けています。
(6月5日放送『news zero』より)