最低賃金1500円どこまで? 中小企業の苦しい本音
衆議院選挙の投開票まであと4日、多くの政党が最低賃金1500円への引き上げを公約に掲げています。一方で中小企業にとっては、継続的な賃上げは大きな課題に。苦しい本音を取材しました。
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茨城県にある、創業96年のせんべいとおかきの店「根本製菓」。奥の工場でせんべいなどを作り直売している、従業員20人の中小企業です。
根本製菓 根本雅章社長
「どんどん売っていって収益を上げて賃上げしたい」
収益UPのためにこんなことも始めました。
「焦げちゃう場合もあるので気をつけて加減して」
3年前から始めた“手焼き体験”は好評で、客足も伸びているといいます
「うん、うん、うん、おせんべい」
こうした努力もあって、従業員に対して今年は約5%の賃上げを実現。しかし、原材料費やエネルギー代、さらに今年は“コメ不足”でせんべい作りに必要なコメの値段が高騰したことも大きな負担だといいます。
そんな中、こんな工夫も…
根本製菓 根本雅章社長
「せんべいを作る過程で金属が入った場合、検出する機械になっています」
国の補助金を活用して2022年に導入したこの機械で、これまで2時間かかっていたチェック作業が40分に。業務の効率化で余計な残業代を省き、賃上げに回せたのです。
ただ、継続的な賃上げには不安ものぞかせました。
根本製菓 根本雅章社長
「毎年、賃上げになると、毎年(価格を)上げざるを得なくなってくる。人件費の部分だけは(価格を)上げてもらわないとやっていけない」
今回の選挙で一つの争点となっている「最低賃金」の引き上げ。多くの政党が最低賃金1500円への引き上げを衆院選の公約に掲げています。
6人のパート従業員が働いているこの会社でも、時給1500円の実現には頭を悩ませています。
根本製菓 根本雅章社長
「大変、大きい問題だと思います。政府が(最低賃金)1500円ていったら、毎年そこに向かってやっていかなくてはならない」
さらに、時給が上がると、いわゆる“年収の壁”を意識して働き控えにつながりかねず、結果、人手不足になるのが心配だと話します。