1ドル=144円台半ば 円安が加速 主要国通貨に対し“ほぼ全面安” 外国人観光客は爆買いも飲食店は輸入コスト高騰で…
円安が再び加速しています。29日の外国為替市場では7か月ぶりに1ドル=144円台半ばまで下落しました。さらに、ユーロをはじめ、世界の主要国の通貨に対して、ほぼ円だけが安い状態となっていて、影響が広がっています。
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29日、東京・渋谷のディスカウントストアを訪ねると、多くの外国人客の姿がありました。スキンケア用品やサプリ、お土産のお菓子などを購入したニュージーランド人は――
ニュージーランドからの観光客
「ニュージーランドと比べてとても安い」
「予定よりめちゃくちゃ買ったので、余分にバッグが必要になった。たくさん買ったから」
こうした大量購入を後押ししているのが、急速に進む「円安」です。この店の外国人による売上高で一番多いのは、約3割をしめる韓国人です。4月以降、韓国の通貨・ウォンに対し10%ほど円安になっているのです。お土産のお菓子や薬などを約4万円分も購入していた男性4人は――
韓国からの観光客
「こうしたお菓子は韓国だと3000ウォン(約300円)くらいなのに、日本だと1000ウォン(約100円)で買えるからたくさん買ってしまった」
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急ピッチで進んでいる「円安」。29日の外国為替市場では一時、1ドル=144円台半ばまで値下がりしました。アメリカなど海外が金利を上げている一方、日本だけが低金利政策を続けているため、金利の差で円安となっているのです。
さらに、外国為替市場で円相場はドルだけでなく、ユーロに対しても急速に円安が進んでいて、一時、1ユーロ=158円台まで下落。約15年ぶりの円安ユーロ高水準を更新しました。
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円安の影響は、レストランにも及んでいます。ヨーロッパ産など30種類以上のチーズを扱い、ワインなどとともに提供している東京・銀座にある店では――
チーズ&ワインレストラン村瀬 村瀬健一代表
「(仕入れ値が)上がったといえばチーズ。ここ1年くらいで1.5倍近く上がっている」
円安・ユーロ高の影響でヨーロッパ産チーズの輸入コストが高騰。物価高の影響もあり、多くの料理を値上げしたということです。
こうした中、大きく値上がりしているのがサーモンです。東京・渋谷区にあるサーモン専門店では、現在、ノルウェー産を取り寄せていますが、仕入れ値は3年前と比べ、約7割上がっているといいます。
サーモンパンチ 向峯栄司料理長
「庶民的な食材なので厳しいですね。ただ、上がり値がある程度頭打ちになっているところはあるので、これ以上、上がらないけど下がることもない」
外国産のサーモンは、コロナ禍で漁獲量が減少しています。そこにウクライナ問題と円安が、サーモンの価格高騰に拍車をかけたということです。
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日本円は世界の主要国の通貨に対して、ほぼ全面安となっています。市場では「インバウンド需要や株価上昇などプラス要因もある」という声がある一方、家計や中小企業などには痛手となるため、政府・日銀が為替介入に踏み切るかどうかに関心が集まっています。