止まらぬ株安“震源地”中国と中東で何が?
19日の東京株式市場で、日経平均株価の終値は前日比92円80銭高い1万7048円37銭と4日ぶりに値上がりしたが、市場の混乱はおさまっていない。株安の背景には世界経済の先行きに対する警戒感がある。その震源地、中国と中東では今、何が起きているのだろうか?
■「爆買い」消費好調も…先行きは楽観できず?
東京・銀座には19日も、多くの外国人観光客が訪れていた。
中国人観光客「(Q予算は?)(上限は)決めていません。良い物なら買いますね」「家電製品をたくさん買いました。1万元(約18万円)使いました」
なかでも目立つのが中国からの観光客。「爆買い」とも言われる消費で、いまや日本経済を支える重要な存在だ。銀座にある百貨店にも買い物を楽しむ訪日外国人の姿があった。
三越銀座店営業計画担当・村松一夫担当長「(外国人向け売り上げは)昨年が前年の3倍くらい大きく伸びた。非常に高い購買動向が続いているかと考えております」
今年も売り上げは1.5倍と好調を維持。しかし、先行きについて聞くと楽観はできないという。
村松担当長「海外のいろいろな状況がございますので、そういう意味では不透明な感じは今後あるのかなと」
■中国の景気減速と日本の株式市場
そのわけは、中国の景気が減速していること。19日にそれを物語る数字が発表された。中国の去年のGDP(=国内総生産)の実質成長率は、前年比で6.9%のプラスとなった。これは25年ぶりの低い伸び率で、7%としていた中国政府の目標も下回ったのだ。
これを受け、株安が続いていた日本の株式市場は、根強い不安感から、上げ下げを繰り返す展開に。結局、値を上げて取引を終えたが、年明け以降の下落幅は、去年末が1万9033円71銭、19日が1万7048円37銭と、すでに2000円近くに上る。
■株価急落のもう一つの要因
「株価急落」の要因はもう一つある。それは「原油安」だ。そもそも、原油安が進んだ大きな要因は、中国や新興国の景気減速により、原油の「需要」が伸び悩む一方、サウジアラビアなどの産油国が原油の産出を減らしておらず、「供給」も過剰になっていること。そこで、原油が「余る」との見方が強まり、価格が下落しているのだ。すると、利益が少なくなる産油国の経済が打撃を受け、これまで世界中の株式市場に投資されていた、いわゆる「オイルマネー」が引き揚げられることになり、中国の景気減速とともに世界中の株価を押し下げることにつながっているのだ。
■原油安がさらに進む可能性も
この原油安はさらに進む可能性がある。私たちはイランの首都・テヘランに向かった。
原油埋蔵量、世界4位を誇る産油国のイラン。ガソリンの価格は1リットルあたり約40円と日本の3分の1程度だ。イラン南部の港町には巨大な原油の「輸出基地」もある。これまで、核開発をめぐって、イランは欧米などの経済制裁を受けていたが、その解除が決まり、今後、原油の増産に踏み切る考えなのだ。
OPEC元イラン代表・ハティビ氏「制裁解除後、すぐに輸出を増やす考えです。なぜなら需要があるから」
その場合、供給がさらに過剰になることから、原油安に拍車がかかる可能性がある。
■世界的な株安は今後も続くのか?
中国の景気減速と原油安に端を発した世界的な株安。今後も続くのだろうか?
三井住友アセットマネジメントのシニアストラテジスト・市川雅浩氏は、「(現在は)不安の方が先に立っている状態で、それで株式市場が動揺してしまっている。日本株については欧米株に比べて相対的な割安感があります。したがってもう少し金融市場が落ち着いてくれば、少しずつ買い戻しの動きも見えてくるのではないか」と語った。