日本ユニシス社長 社員活性の秘訣 4/5
日本ユニシス・平岡昭良社長に聞く「飛躍のアルゴリズム」。4つ目のキーワードは「“プロパー社長”には社員も容赦なし!」。平岡氏は入社から現在まで日本ユニシスで働く“生え抜きの社長”。その“近さ”ゆえに、社員から容赦ない言葉や意見も出るという。
■社員がどんどん訪ねてくる
――社内ではどのように“容赦ない”のでしょうか?
まず、少しでもスケジュールが空いていると、みんなどんどん入れてきます。私が自分の仕事をしたい時間があるじゃないですか。空いてれば「ちょっといいですか?」というふうに来ますし、だんだん朝早くなったり、お昼もごはん食べているときにでも、食べながらでいいですからって、どんどん訪ねてくるんですね。
また、ちょっと私が変なことをしゃべったり、ちょっとだらしない格好をしていると、容赦なく叱る社員もいます。例えば、はじめて社長になって、決算発表やるので緊張するのは当たり前じゃないですか。それなのにわざわざメールで「柄にもなく緊張してますね」とか送ってくる社員とかですね(笑)。
■企画の初期段階で相談がくる
――すごく距離が近いのですね。
たぶんそれがプロパーの良さで、逆にいろんな相談事、例えば企画ですと、普通はしっかりと企画してからもってくるものだと思うのですが、「ちょっとこんなことを考えているんですが」のように、妄想レベルでも相談をもらえるので、いい距離感になっているような気がします。
――あんまり自由になりすぎると、統制がとれなくなったりしないのですか。
実は幹部社員には厳しいんです(笑)。幹部社員が新しい企画などを持ってきたときには優しく接しますが、業績などに関しては厳しく接するようにしています。
■社長のアイデアに女子社員がダメ出し
――重複する部分もあるかもしれませんが、プロパーの社長だからこそできること、強みとはズバリ何ですか。
ひとつは社員との距離間という中で、私がいろんなアイデアを出して、“ほとんど失敗、たまに成功”と社員は知っておりますので、私が出したアイデアにもズケズケと意見を言ってくるんですね。
先日の話です。犬とか猫に服を着せますよね。あれにITで測れる、例えば心拍数とか血圧とか、体温を測れるデバイスをつけたら、犬とか猫の気持ちがわかって、スマホで「ちょっと暑いよ」とか「散歩つれてってよ」ってしゃべったら面白いよなあって、アイデアを出したんです。そしたら、すぐにペットを飼っている女性社員から「私はペットの気持ちはわかります。そんなものはいりません」と言われたりですね(笑)。
――私最近、犬を飼い始めたばかりなので欲しいです。
そうでしょう、そうでしょう(笑)。もっと気持ちがわかりたいという飼い主の方もいらっしゃるので、いつかはこれをビジネス化したいと思っています。
■やる気を失っていた社員が大活躍
もうひとつは「leadership by example」。リーダーとして、サンプルになれるということです。実は、去年の4月に、もう泣けるぐらいの事件がありました。ある社員が、ちょっと仕事も行き詰まって、健康状態も良くなくて、仕事もやる気をなくしてたんですが、昨年の表彰式で「アイ・リアリー・ライク・ユー」という歌ありますよね。あれに合わせて、私は踊ったりしたんですね。
その中で、チャレンジする社員が大好きだというメッセージを出したら、その社員は、それを見て、役員がこんなことをやってくれる会社なら、こんな自分でもチャレンジしていいんじゃないかと一念発起して、今や、さきほどのベンチャーを何社もつかまえて、大活躍するようになってくれました。
これは本当にプロパー社員同士の気持ちの触れ合いから生まれたことなのかなということで…これをしゃべるとちょっと…うるうるしちゃうんですが…(うっすら涙ぐむ平岡社長)。