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金融庁×吉本興業で異色コラボも? イチから分かる!新制度になるNISAって結局なに?

2024年1月8日 15:00
金融庁×吉本興業で異色コラボも? イチから分かる!新制度になるNISAって結局なに?
吉本興業と金融庁が開催した「新しいNISA×未来プロデュース」のイベント

2024年にNISAが新制度となる。真面目に貯金していても、その“お金の価値”はどんどん目減りする可能性も。こうした中、金融庁が吉本興業と異色のタッグを組んでイベントを開催。金融業界も本腰を入れる。NISAとは何か、何に気をつけるべきか。

2023年末、都内で開かれた吉本興業のイベント。そのテーマは、2024年1月から新しい制度となる「NISA」だ。蛍原徹さんがMCに入り、これから新しくNISAを学ぼうとしている芸人として、こがけんさんらとトークを繰り広げた。

 「NISAはどうなの?」
 「玄関を守る……あ、すみません、シーサーの話でした」

会場に笑いを起こしつつ、NISAについて理解が深いタレントたちの解説が始まる。

NISAとは、通常株などで得た利益にかかるおよそ20%の税金を、一定の範囲内で非課税とする優遇措置だ。例えば、通常株の運用で10万の利益が出ても2万は税金としてとられてしまうが、NISAであれば10万円丸々手に入ることに。

今回、吉本興業とのイベントに関わった金融庁の担当者は、「生き方や働き方が多様化する時代となる中、投資のリスクを少しでも軽減しつつ資産形成をする意味で、NISAは有効な選択肢になる」と話す。

■政府が投資促進を掲げる意図とは?

しかし、なぜいま政府主導で「NISA」を進めるのか?

日本銀行によると、いま国内の家計にはおよそ1100兆円にのぼる現預金、つまりは投資などに運用されていないお金が眠っているとされる。家計の金融資産全体の半分以上を占める。欧米と比べても、かなり高い水準のお金が運用されていない状態だ。

これを投資にシフトさせることができれば、企業の成長などに役立ち、経済が活性化して、ゆくゆくは家庭に還元されていく!という「好循環」をめざし、政府は「貯蓄から投資へ」を打ち出した。

■あなたの持つ“お金の価値”どんどん下がる可能性も?

資産運用を学ぶことは、家計にとっても大切となる。日本で物価が上がる=お金の価値が下がると、「貯金」をしているだけでは、資産の実質的な価値は目減りしていくことになるためだ。

例えば、100万円の現金を持っていたとする。もしも仮に、毎年3%の物価上昇が続いた場合、10年後にはその価値は74万円、20年後には55万円に。実質的な価値が、およそ半分となってしまう。

■結局、新制度で何が変わる?

それでは、2024年からNISAは一体、何が変わるのか。

これまでの制度では、「一般NISA」と、より少額から積み立てて投資できる「つみたてNISA」があった。これらは株式などが非課税となる額や期間が異なっていて、「一般NISA」は年間の上限120万円で最大5年間、「つみたてNISA」は年間の上限40万円で最大20年間と決められている。この2つは、併用することはできなかった。

一方、2024年から始まる「新NISA」では、非課税となる金額を大幅に拡大。期限もなくなり、さらに併用もできるようになる。

上限は、一般NISAの後を継ぐ「成長投資枠」で年間240万円と、これまでの2倍。「つみたて投資枠」では年間120万円と3倍に。これらの枠の併用により、生涯での投資の上限は1800万円と、大幅にアップした。

NISAには専用の口座が必要となるが、すでに口座を持っている人は新NISA向けに自動で口座が開設される。一方、口座を持っていない人は、金融機関に申し込み、新たに口座を開設する必要がある。

■NISAカフェに対面セミナー!本腰入れる金融業界

このように、制度の変わり目となる2024年。ある金融関係者は「NISAをきっかけに、長く取引が続く可能性が高い。“金融は難しい”“投資は怖い”という意識をなくしてもらうチャンスにもなる」と話す。

金融庁によると、2023年6月末の時点で一般NISAを取り扱っている金融機関はおよそ700法人、つみたてNISAを取り扱っている金融機関はおよそ600法人に及ぶ。こうした中、みずほ銀行が打ち出したのは「NISAカフェ」。ドリンクを片手に、NISAについて聞けるブースを定期的に開いている。

また、大和証券はNISAや今後の株価に関する対面セミナーを開催。1回の講義に140人以上が参加し、相談窓口にも、NISAに関する相談が増えているという。NISAの口座件数は、2022年は3か月で1000口座程度の伸びだったのが、2023年は半年で3万口座の申し込みがあったという。ネット証券が増える中、窓口の担当者は「資産が増えていくとNISAも複雑化する。証券会社として、株の売買に限らず、事業承継や不動産売買など、総資産に対することに注力している」と話す。

■投資にはリスクも!!気をつけるべきことは。

しかし、こうした投資をする上で避けて通れないのが“元本割れ”、つまり投資した当初の金額を下回って損をしてしまう、などのリスクだ。思うように資産形成がいかない場合も当然ある。

金融庁は、リスクをできるだけ下げるための原則として、(1)長期(2)積立(3)分散、をあげる。長い期間、積み立てて投資することで、「高い時に買ってしまった、安い時に売ってしまった」など1回の“ぶれ”を軽減して、全体として利益を得られる可能性を高くする。また、多くの銘柄に分けて投資することで、仮に1つ企業が倒産するなどの最悪の事態がおこっても、ほかの銘柄でカバーができるとしている。

吉本興業と金融庁のイベントで解説をした、日本証券業協会の川口由美氏は、「お金と切り離して生活をしている方はいない、必ず資産形成は自分にとって大事なこととなる」と話す。

新NISAをきっかけに資産形成への理解を広め、「貯蓄から投資へ」を実現することができるのか。投資の可能性と、避けられないリスク、どちらも正しい理解が求められている。

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