自動車や住宅が…来年度「税制改正」焦点は
来年度の税制改正について自民・公明両党は全容をほぼ固めたが、未婚のひとり親に対する支援策をめぐって意見が対立し、税制改正大綱の決定は14日以降に延期された。経済部の鈴木あづさデスクに聞く。
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Q:税制改正大綱のとりまとめが延期になってしまった。来年度の税制改正のポイントは?
今回の税制改正の焦点となったのは、来年の消費増税の影響が大きい自動車や住宅市場の冷え込みをどう防ぐか、ということだった。
自動車については、車を持っている人が毎年課税される「自動車税」を排気量に応じて最大4500円から1000円の範囲で恒久的に引き下げる。また、自動車を購入する際の税金も軽減される。いまの「自動車取得税」にかわって、消費税率が上がる来年10月に燃費性能に応じて税金を課される「環境性能割」という仕組みが導入されるのだが、この税率が最初の一年間だけ1%引き下げられる。
住宅については、「住宅ローン減税」が3年間延長される。消費増税以降、再来年の年末までに住宅を買った人は、減税を受けられる期間が10年間から、さらに3年間のびる。延長された期間は、最大で建物価格の2%分が減税されるので、実質的に消費増税の負担がなくなる。
Q:減税ラッシュで聞こえはいいが、一方、国の財政は大変なことになっているが?
そもそも消費税率を引き上げることになった背景には、日本の待ったなしの現状がある。
借金だらけの財政を立て直すため、消費税を10%に引き上げることで得られる税収、約5兆円のうち、4兆円を借金返済に回すことが決まっていた。ところが去年、返済には約半分だけを回し、あとは幼児教育無償化などの施策に充てることが決まった。
その上、「消費増税対策」の名のもとに、キャッシュレス決済でのポイント還元やプレミアム付き商品券など様々な施策に来年度予算を使いまくっているのが現状だ。
財務省の幹部も「何のための消費増税かわからない」とため息を漏らしていて、来年の参院選を見据えた大盤振る舞いという印象はぬぐえない。