「パン専門店」小麦高騰続く中で次々オープン スーパーやセレクトショップ相次ぎ参入
小麦の高騰が続く中、大手スーパーや食のセレクトショップが手がけるパンのお店が続々と登場しています。“逆風”の中であえてパン業界に参入する狙いを取材しました。
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東京・高田馬場の「洪瑞珍(ホンレイゼン)」は今年4月、日本に初上陸した店です。
お客さん
「台湾の友達から、このお店がおすすめって」
台湾では有名な老舗のサンドイッチ専門店だといいますが、どんな味なのでしょうか? 故郷の味を求め、この日、30個近くのサンドイッチを購入した台湾人の来店客に聞きました。
――日本のサンドイッチと違いますか?
「違います。(味が)絶妙です」
“絶妙な味”というサンドイッチは、もっちりとした食パンで、具を3層にわけて挟んでいます。一番人気は、両端に薄焼き卵とマヨネーズ、中央にチーズとハムと甘いバターペーストが入ったもので390円。“あまじょっぱい”組み合わせの3層の具を一緒にほおばるという、日本人にとっては新感覚のサンドイッチです。
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新旋風が巻き起こるパン業界ですが、輸入小麦の価格は上昇しています。4月には、政府が製粉会社などに売り渡す価格が5.8%引き上げられました。“逆風”ともいえる状況の中、あえて“パンに商機”を見いだし、新業態の店をオープンしたところもあります。
200店舗以上を構えるスーパーの成城石井は、パンの専門店「成城石井BAKERY」を手がけました。店には、ひっきりなしに客が訪れています。
小麦が高騰を続ける中、なぜ、あえてパン業界に参入したのでしょうか。
成城石井 執行役員 五十嵐隆さん
「成城石井の商品で『一番使い勝手がいい』とおっしゃっていただいている領域が、実はパンです」
スーパーの中でも特に人気だという「パン」に注目、今年4月に大阪市に専門店をオープンしたといいます。一番人気は「焼きカレーパン(ごろっと黒毛和牛と7種野菜と10種スパイスの焼きチーズカレーパン)」。中には黒毛和牛がふんだんに入っていて、お値段は431円です。
カレーパンを購入した客
「具だくさんで、ボリュームもあって」
――「黒毛和牛」と聞いたらどうですか?
カレーパンを購入した客
「納得の(値段)。安いのかな?」
カレーパンを購入した客
「安いよね」
「黒毛和牛」という高級食材でも、“安価な値段”を実現できている訳は、併設する飲食店の食材を利用しているからです。この飲食店も、スーパーが運営しています。飲食店の調理の際に余る“ステーキの切れ端”を、カレーパンの具材として使っているのです。
成城石井 執行役員 五十嵐隆さん
「仕組みがきちんとあるので、昨今の経済情勢を跳ね返せるような取り組みができる」
今年の秋にも、都内での出店を検討しているということです。
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“お得に買える”パンのお店も登場しています。食のセレクトショップが手がける「DEAN & DELUCA」が手がけるベーカリーカフェには、ゴロっとしたジューシーなバナナが乗ったマフィンなど、まるでケーキのようなパンがずらりと並んでいました。
お客さんは、トレーがいっぱいになるほど次々と購入していました。
お客さん
「食パンとシナモンロールと…7点くらいは絶対買っています。割引されているのも魅力」
値札を確認すると、赤い文字で「限定価格」と書かれていました。実は、この店舗では、ほとんどのパンが通常より2割引で買えるのです。その訳を聞きました。
DEAN & DELUCAベーカリーカフェ碑文谷 柳川春菜マネージャー
「工場に併設しているので、物流費がかからないです」
物流費の削減で、2割引が可能だということです。