ブランド梅「南高梅」が高値 そのワケは?
和歌山県が誇るブランド梅である「南高梅」。今、熱中症対策としても人気が高まっている。今が旬でもある味覚だが、高値が続いている。どんな背景があるのか。
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炊きたてのホッカホカの白米の中に具をたっぷりと入れこみ、ひとつひとつを手作りで仕上げるつやつや輝く「おにぎり」。精米店だけに米へのこだわりはもちろん。不動の人気を誇るこのおにぎりには…
飯塚精米店・飯塚隆夫さん「紀州の南高梅を使っている」
和歌山県が誇る人気のブランド梅「南高梅」を仕入れ、店内で漬けこむほど梅にこだわっている。
しかし、今シーズンは「梅雨」の今の時期を代表する旬の味覚「梅」に高値が続いている。
飯塚精米店・飯塚隆夫さん「(仕入れ値が)去年に比べて2割くらい高かったです」
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そのワケを知るため、全国一の梅の産地和歌山県に向かった。地元の大手加工工場を訪ね、早速、工場内を案内してもらった。
中田食品本社工場・梅本昌宏工場長「こちらが農家から仕入れられた梅干しです」
たるで塩漬けにされたまま届いた南高梅を大きな機械で一気に洗浄し、数時間かけて塩抜きをしたのち、調味液が入ったタンクに最低2週間は漬けこみ、ようやく商品となる梅干し。夏を前にした今の時期が出荷の最盛期だという。
中田食品本社工場・梅本昌宏工場長「熱中症対策ということで、非常に梅干しをたくさん食べられる方が増えて、原料が不足すると高騰につながると懸念している」
しかし今年は、熱中症対策として梅干しの人気が高まっていることが高値につながっているという。
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そして、梅の高値が続く背景にはまた別の要因もあった。県内の梅農園を訪ねた。
JA紀南・梅部会 梅田泰司部会長「これがきのうから1日で落ちた梅で、自然に落下した南高梅です」
自然と落下した梅一粒一粒を手作業で拾い集め、「梅干し」用として出荷している。7月に入り収穫は既に終盤に差し掛かっているが、農家は今シーズンを振り返り…
JA紀南・梅部会 梅田泰司部会長「4月5月の生育期に雨不足がけっこうたたったということと、梅雨入りがかなり遅れたということで、(収穫量が)平年より1割くらい少ないという感じ」
生育時期に雨が不足したことや低温が続いたことで不作傾向に。今シーズンは小ぶりなサイズが多くなるなど、収穫量が全体的に減少傾向にある。
その結果、今シーズンの市場での販売価格は1キロあたり535円と、昨シーズンに比べ2割ほど高値に。
同じく不作だった2017年の483円をも上回る価格で取引されている。(今年535円 去年459円 2017年483円 1キロあたり平均市場販売価格(税別)JA紀南による)
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「不作」に悩まされる半面、高まり続ける梅干し「人気」。長引く影響を心配しているのが、都内にある専門店。そこには“保存がきく”梅干しならではの事情があった。
福梅本舗・自由が丘店 鈴木和美さん「(今販売しているのは)去年の梅ということで、今年の10月に新梅はつけあがってきます」
実は、今、店で販売している商品は去年収穫されたもの。今シーズン収穫された分が店頭に並ぶのは早くても秋以降となるため、今後、長期的に影響が及ぶおそれがある。
福梅本舗・自由が丘店 鈴木和美さん「できる限り、お値段をあげないでお届けできたら一番いいことですよね。販売する者にとっては厳しくなるっていうのはありますけど」
産地、和歌山の農協は、シーズン後半は生育が回復傾向にあるものの、全般的には不作のまま終了すると予測。
梅干しの高値はいつまで続くのか心配される。