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【解説】解散・総選挙で日本株は買い? 1990年以降、解散から衆院選までは「上昇」続く

2024年10月9日 19:03
【解説】解散・総選挙で日本株は買い? 1990年以降、解散から衆院選までは「上昇」続く

9日に衆議院が解散され、各党は事実上の選挙戦に突入した。10月27日に投開票が行われるが、解散総選挙で、日本の株価はどうなるのだろうか? 過去の事例から、今後の株価を読み解く。

■「選挙は買い」の格言 90年以降の衆院選では軒並み株価上昇

実は選挙と株価は密接な関係があるとされ、市場には「選挙は買い」というアノマリー(相場の経験則)もある。過去の例を見てみよう。

1990年以降、衆院解散・総選挙はこれまで11回あるが、三井住友DSアセットマネジメントによると、解散の直前の営業日の終値から、投票日の直前の営業日の終値まで、日経平均株価は全てのケースで上昇した。

ある市場関係者によると、衆院選の際は一般的に、与党の公約、特に経済政策への期待が高まり、株式が買われる傾向にあるという。こうした前例をうけ、市場関係者の多くは今回の衆院選でも、よほどの売り材料がない限り、投開票日までは株価は下がりにくく、「基本は買い」だと見ている。

■石破政権に逆風…今回の衆院選での株価上昇は限定的?

ただ今回、これまで通りに与党への期待が株価に大きく反映されるとの見方は少ない。

石破政権の発足をうけ、NNNと読売新聞が行った緊急の世論調査では、石破内閣の支持率は51%。内閣発足時の支持率としては2006年以降で2番目に低い支持率に留まった。

いわゆる裏金議員の公認問題をめぐって党内が揺れる中、石破政権には逆風が吹いている。こうした情勢をうけ、別の市場関係者は、「株価に与える“選挙効果”は、過去と比べて少し弱まるのでは」とみる。

■「問題は選挙後」衆院選と米大統領選の結果が大きく影響か

さらに多くの市場関係者は、「特に問題なのは、むしろ選挙の後だ」と口をそろえる。

投開票日の株価と比べた1か月後の株価を分析した野村証券によると、例えば郵政民営化が争点となった2005年の衆院選や、安倍晋三総裁のもと、自民党が政権を奪還した2012年の衆院選では大きく値を上げている。

1990年以降の11回の衆院選のうち、上昇したケースは4回。一方、株価が下落したのは7回。まちまちの動きとなった。ある市場関係者は「今回、万が一自民党の議席が大きく減れば、政局が不安定となり、マーケットにとっては先行き不透明感が強まる。その結果、選挙後は株安になる可能性もある」と指摘する。

さらに日本の株価の先行きを不透明にしているのが、11月に行われるアメリカ大統領選だ。トランプ氏かハリス氏どちらが勝つのかに加え、同時に行われるアメリカの議会選挙の結果によっては、上院と下院で多数派が異なる“ねじれ議会”になる可能性も指摘されている。

議会がねじれると、アメリカの新政権の政策実現に向けた不透明性は高まる。さらに中東情勢が不安定な中、原油価格などが高騰するリスクもある。情勢次第で、アメリカ、さらに日本の金融市場にも大きく影響する可能性がある。

株式市場にとって、一番嫌われるのは不透明感。今回の衆院選で、日本政治をめぐる不透明感は払拭されるのか、それともさらに不透明感が強まるのか。市場は固唾(かたず)をのんで見守っている。

(日本テレビ経済部 広芝学)