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「言われなければ気づかない」……価格そのまま、量を減らす“ステルス値上げ”の本音は? 年内「再々値上げ」の動きも加速か

2022年6月10日 11:21
「言われなければ気づかない」……価格そのまま、量を減らす“ステルス値上げ”の本音は? 年内「再々値上げ」の動きも加速か

価格は据え置きで容量を少し減らす、「ステルス値上げ」とも呼ばれる実質値上げが相次いでいます。菓子メーカーや消費者に、本音を聞きました。値上げが一度で終わらず、複数回に及ぶこともあり、年内に再々値上げする動きも加速しそうです。

■値上げ分を負担…駄菓子店の工夫

9日、東京・中野区にある、昔ながらの駄菓子店を訪ねました。子どもたちが満足いくまでお菓子を買っても、「全部で280円ですね。安いですね」と親は安心した様子でした。

安さには秘密がありました。「うまい棒」の値段は小学生なら10円(税込み)ですが、大人は12円(税別)。価格が違っていました。価格が上がったはずのうまい棒ですが、小学生は10円のままでした。

――お店が負担されている?

店主
「そうですね。それはしょうがないですね。値上げ分+税金を小学生からもらうわけにいかないので」

店には200~300の商品があります。店主は「徐々に徐々に値上げしていますので、5割くらいは値上げしています。ほとんど利益ないですよね」と明かします。

他にも困っていることがありました。店主は「急に仕入れに行って値上がりしていた、というのが多いです。事前の連絡がないので、仕入れた時にぎょっとします」と言いました。

■消費者も「実質値上げ」に戸惑い

通告のない変更に戸惑っていたのは、店で商品を買う客側も同じでした。9日夜、都内で聞きました。

会社員(50代)
「(ハンバーガーの)バンズが小さくなったなとか、昔もっと大きくなかった?とか」

会社員(30代)
「実質値上げ、ありますね。子どものお菓子買った時に『あれ、もう終わっちゃったっけ?』って」

価格はそのままの一方、量が少し減っている――。「ステルス値上げ」とも言われる、実質的な値上げが相次いでいます。

湖池屋は6日から、実質値上げに踏み切りました。

岩本乃蒼アナウンサー
「『スティックカラムーチョ』はこれまでは105グラムでしたが、6日からは97グラムに量を減らして出荷されています。言われなければ気づかないですが、知ってしまうと少し寂しいような気もしてしまいます」

価格は215円(希望小売価格、税別)のままですが、内容量は8グラム減っています。実質値上げに踏み切った湖池屋に、本音を聞きました。

岩本アナウンサー
「(減らす)グラム数は大変悩ましいところですよね?」

広報
「いや、もちろんでございます。1グラムでも下げたくないというのが本音ではございますので。ここまでの原材料の高騰や為替の変動というところも影響していますが、本当に、かつてないような状況と考えています」

「自社で耐えられる限界を超えたため今回の改定に至りました。弊社の場合、原料と特に油を使います」

■「ステルス値上げ」各社で続々

今年1月からはカルビーの「じゃがりこサラダ」も実質値上げとなり、ネスレ日本の「キットカット ミニ」は6月15日発売分から14枚が13枚になります。

7月以降も、不二家の「ミルキー」や「カントリーマアム」など、商品の内容量を減らす動きは続きます。

湖池屋は価格自体を値上げした商品もあり、中には2回目となるものもあります。広報担当者は「過去にはあまりないような状況なのかなと(思います)」と言います。

もともと130円だった「すっぱムーチョチップス」(レギュラー各種他)は2月に135円、9月に140円(いずれも参考小売価格、税別)と、今年に入って2回値上げされます。「企業継続していくためにも、どうしても改定せざるを得ない」といいます。

帝国データバンクによると、6月1日時点で今年は1万789品目が値上げとなります。年内の再値上げ、再々値上げの動きも加速しそうです。

(6月9日『news zero』より)

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