ダイハツ 不正原因に“極度のプレッシャー”も 全車種の出荷停止を発表 販売店や購入者ら困惑…
トヨタ自動車グループのダイハツ工業が不正を行っていた問題で、ダイハツは全ての車種の出荷を停止すると発表。20日、社長が会見で謝罪しました。急きょ売ることができなくなった店や納車待ちの購入者など、早速困惑の声が上がっています。
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ダイハツ工業株式会社 奥平総一郎代表取締役(20日午後5時ごろ)
「誠に申し訳ございませんでした」
会見の冒頭、謝罪したトヨタグループのダイハツ工業。そのダイハツが生産する64車種について、衝突試験などで不正行為が発覚しました。国の内外の全ての車種が出荷停止となる事態になっています。
突然の出来事に買い手は…
来年1月にダイハツ車を納車予定(栃木・鹿沼市、20日午後4時半すぎ)
「一括で払っちゃった。どうなっちゃうんだろう」
さらに、売り手からも…
ダイハツ車を扱う店(東京都内、20日午後4時すぎ)
「受注もとれませんし、納車待ちのお客さんにもご迷惑おかけしますし、どうしたらいいのか、むしろお聞きしたい状態」
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軽自動車の国内販売数トップを誇るダイハツ。その車の安全性を確認する試験で、不正行為が発覚しました。
ダイハツ工業株式会社 奥平総一郎代表取締役(20日午後5時ごろ)
「誠に申し訳ございませんでした。認証とはお客様に安心して車にお乗りいただくための様々な基準を満たしているかを、あらかじめ国に審査・確認いただくものです。今回、その認証を軽視していると指摘されても仕方がない不正が行われています」
同じグループ会社のトヨタ自動車は…
トヨタ自動車 中嶋副社長
「トヨタ自動車としても、親会社としても大きく受け止めております。深く反省しております」
認証試験での不正行為が発覚したのは、ダイハツが生産する64車種です。そのため、国内外の全ての車種が出荷停止に。
ダイハツ工業株式会社 奥平総一郎代表取締役
「その行為を生み出す環境を作った責任は経営陣にあります。自動車メーカーとして根幹を揺るがす事態だと大変重く受け止めています」
不正行為に手を出したその理由は、試験合格への「極度のプレッシャー」だといいます。150ページ以上に及ぶ不正行為の調査報告書に書かれていたのは、「合格して当たり前」という組織に根付いた意識でした。
調査報告書
「やむにやまれぬ状況に追い込まれて不正行為に及んだ」
「認証試験は合格して当たり前。不合格となって開発、販売のスケジュールを変更するなどということはあり得ない」
調査結果を公表した第三者委員会は会見で…
第三者委員会(20日午後3時15分すぎ)
「『絶対に合格しなければならない』『不合格は許されない』という、まさに一発勝負の強烈なプレッシャーにさらされながら業務を行っていた。不合格が見込まれる試験の結果を合格にする目的にとどまらず、合格が見込まれる試験だが、万が一の不合格を避けるために合格を確実にする目的も含む」
人の安全を守るための認証試験で数々の不正行為が行われていました。
第三者委員会
「不正行為は合計174個。一番古い物は1989年ですが、2014年以降に件数が増加しています」
不正行為は、34年前から続いていたといいます。具体的な内容としては、エアバッグの作動試験では本来、衝突時の衝撃をセンサーで検知し自動でエアバッグを作動させる必要があるにもかかわらず、タイマーで作動するように設定し試験を実施。
また、ヘッドレストの衝撃試験では、助手席側の試験しか実施していなかったにもかかわらず、運転者席の試験も実施したように虚偽の数値を記載し、認証申請していました。
第三者委員会によると、管理職の人間が、指示・黙認など関与した事実は確認されていないということです。
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ダイハツ車を取り扱う都内の店舗では…
ダイハツ車を扱う店(20日午後4時すぎ)
「ダイハツがこういう問題を起こしたのはびっくりしましたね。受注もとれませんし、納車待ちのお客さんにもご迷惑おかけしますし、どうしたらいいのかむしろお聞きしたい状態」
1か月後にダイハツ車の納車を控えているという購入者は約190万円で購入したといいますが…
ダイハツ車を納車予定(栃木・鹿沼市、20日午後4時半すぎ)
「一括で払っちゃった。安い方ですけど家の次に出費が大きいから。ちょっと私の車! と思って『大変だよ』と話していて。どうなっちゃうんだろう」
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斉藤国土交通相は…
斉藤国交相(20日午後4時ごろ)
「これは自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり断じて許されない、こういうふうに思います」
国交省は21日、ダイハツに立ち入り検査を行い、詳細を調査する方針です。