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「ふるさと納税」にも“値上げの波” 10月の運用見直しで加速か 自治体の対応は?

2023年7月19日 21:47
「ふるさと納税」にも“値上げの波” 10月の運用見直しで加速か 自治体の対応は?

物価高騰の影響で、ふるさと納税の返礼品にも値上げの波が押し寄せています。さらに、今年10月に行われる運用の見直しで、値上げの勢いが加速する可能性も出てきています。対応を迫られる自治体を取材しました。

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30代
「お得だし、選ぶのが楽しいですよね」

40代
「給料も上がらないので、記念日に食べるお肉とかふるさと納税で頼もうかなと」

各地の名産品をお得に楽しめるふるさと納税ですが、そこにも値上げの波が押し寄せています。

2021年度、全国4位となる125億円の寄付を集めた北海道白糠町では、いくらやホタテなどがふるさと納税の返礼品としても人気を集めています。しかし、寄付額を値上げせざるを得なかったといいます。

白糠町役場・ふるさと納税推進係 神田貴史係長
「調達額が値上がりして、サーモンですと、寄付額が1.5倍まで上がった」

去年5月時点では1万円の寄付でサーモン1キロの返礼品を受け取れましたが、今は1万5000円まで値上がりしたのです。昨年度は返礼品全体の約8割を値上げせざるを得なかったほど、物価高の影響は大きいといいます。

返礼品の値上げは白糠町だけではありません。神奈川・鎌倉市ではロースハム600グラムが1万8000円から2万2000円に、京都市ではラーメンチェーン「天下一品」の家庭用ラーメン4食分が9000円から1万1000円にアップしました。宮崎・都城市では、芋焼酎「黒霧島」の3本セットが1万円から1万1000円になるなど、全国の自治体でも相次いでいます。

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さらに、今年10月以降、寄付額が再び値上がりする可能性も出てきています。

ふるさと納税では返礼品の調達費を含めた経費を寄付額の5割までとするルールがありますが、総務省はこれまで曖昧だった経費の基準を厳格化。自治体はこれまで経費に含めていなかった仲介サイトへの手数料の一部なども、10月以降は経費として計算しなければならないのです。

12月に寄付をするという女性
「早く(寄付)したほうがいいかも」

“経費5割ルール”の見直しを受け、山梨・富士吉田市は経費が5割に収まるように対応していきたいといいます。

富士吉田市役所・ふるさと創生室 萩原美奈枝部長
「全体的に経費が上がってきているので、少しずつ見直しをしていかないと5割以内にならないなと」

さらに、茨城・境町では、米や牛肉などの返礼品で寄付額を1000円程度値上げすることを検討しているといいます。

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そして、北海道白糠町では、今回のルール見直しを受け2021年度の経費で試算したところ、経費が寄付額の5割を超える結果になったといいます。

白糠町役場・ふるさと納税推進係 神田貴史係長
「50%を超えていましたので、超えている部分については圧縮していかないといけない」

今年10月までに経費を見直すことが必須になりますが、それでも…

白糠町役場・ふるさと納税推進係 神田貴史係長
「(ふるさと納税は)事業者が元気になってもらう制度なので、事業者に値下げをしてくれとお願いすることはしない」

町では、10月以降に寄付額を値上げすることも選択肢にいれ、寄付金を子育て支援事業などに活用していきたいということです。

物価高にルールの見直しなど環境が変化するふるさと納税。今年は早めに利用するのが得策かもしれません。

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