代わりに楽しんで「ぬいぐるみ商戦」最前線
コロナ禍でにわかに注目されているものがあります。それは、「ぬいぐるみ」。お一人様のカフェで新サービス、旅行ができない人に代わってぬいぐるみが“お出かけ”……。コロナ禍の「ぬいぐるみ」商戦とは?
■ぬいぐるみサイズのクリームソーダを無料で!
東京・八王子市にあるカフェは、今年4月からミニサイズのクリームソーダやスイーツを無料で提供するサービスを始めました。ミニサイズの大きさは、普通サイズの4分の1ほど。これ、実は、人ではなく、ぬいぐるみに合わせたサイズなんです。
お一人様限定『ミニサイズ』を始めたその訳は……。
このカフェは以前から、クリームソーダを客の好きな色で作り提供していました。すると、アニメやアイドルのファンの間で、好きなキャラクターのイメージカラーに合わせたクリームソーダが飲めるということで話題に。その際、ぬいぐるみやグッズとクリームソーダを一緒に撮った写真が評判になり、ぬいぐるみなどを持参する客が増えました。
店側もコロナ禍で営業していく上で、感染リスクが低いひとり客を増やしたいと考えていた時期。そこで、ひとり客に限定してこのサービスを始めたということです。その狙いがあたり、今は、ぬいぐるみと向かい合って食事を楽しむ客も多いといいます。
■客も店員もぬいぐるみのカフェ?
ぬいぐるみに注目した店はほかにも。
東京・足立区のナナシノ商店街にある「やわらかん’s cafe」は、店員もお客様もぬいぐるみ。高さ60センチ、横幅1メートルの小さな小さなカフェです。
“お客様”となるぬいぐるみは、各地の持ち主から送られてきたもの。客のぬいぐるみには、6センチほどのお皿に盛り付けられた本物のオムライスや食後のコーヒーなどを提供します。
店長のぬいぐるみ「ヒラメのカレイちゃん」との様子を撮影して、SNSに投稿したり、アルバムにまとめたりします。客のぬいぐるみは、滞在中の思い出アルバムと、お土産のおやつなどとともに持ち主の元へ返送されます。
店を運営するのは、元々おもちゃメーカーで企画開発をしていた鈴木公子さん。
鈴木さんは、ぬいぐるみ好きな人の中に、外出先でぬいぐるみを出すことを恥ずかしがったり、ためらったりしてしまう人が多いことに気づいたそうで、そんな人たちがぬいぐるみをもっと楽しんでもらうために、ぬいぐるみのカフェを考案したそうです。
コロナ禍で、今では全国各地からぬいぐるみが送られてくるということで、「お出かけができないから、自分の代わりとしてぬいぐるみに楽しんできてほしい」という客が増えたそうです。
こうした試みが発展して「やわらかん’s cafe」がある商店街では、ぬいぐるみ好きを歓迎する店を『NGM(ぬいぐるみ)フレンドリー店』として、店頭にポップを表示。コロナ禍で客足が落ちていた商店街には、SNSなどで知ったぬいぐるみ好きが訪れるようになったといいます。
コロナ禍のぬいぐるみ商戦は、今後、広がりを見せるのでしょうか