大規模金融緩和の検証「多角的レビュー」 ”ゼロ金利制約に直面しないような政策運営が望ましい”
日本銀行は今年最後の金融政策決定会合で、追加の利上げを見送り、政策金利を現在の0.25%に据え置くことを決めました。
今回の利上げ見送りには9人の政策委員のうち1人が反対し、「物価上振れリスクが膨らんでいる」として0.5%への利上げを提案しましたが、否決されました。
日銀は国内の経済・物価は見通し通りに推移しているとの認識ですが、今回の利上げを見送り、来年の賃上げの動向や、トランプ新政権でのアメリカ経済の先行きを慎重に見極めることにしたとみられます。
またアメリカのFRBが18日、来年の利下げペースを緩める見通しを示し、日米の株価が下落したことも利上げを見送る材料になった可能性があります。
しかし、日銀の発表直後に円相場は1ドル=155円台まで円安が進み、この後の会見での植田総裁の説明が注目されます。
また、今回の会合では、日銀が過去25年間行ってきた金融政策の効果を検証する「多角的レビュー」もとりまとめられ、公表されました。
2013年以降当時の黒田総裁のもとで行われた大規模な金融緩和策について、「金融市場や金融機関収益などの面で一定の副作用はあったものの、全体としてみれば、わが国経済に対してプラスの影響をもたらしたと考えられる」と総括しました。
ただデフレ経済からの脱却のために、大規模緩和を通じて、国民に物価が上昇していくという「期待」を持たせるよう働きかけることは難しく、「導入当初に想定していたほどの 効果は発揮しなかった」と分析しています。
その上で日銀は、今後の金融政策への教訓として、マイナス金利の導入などの「非伝統的な金融政策手段」は、「伝統的な金融政策手段」である短期金利の操作に比べて効果が不確実だと指摘。
短期金利の政策金利がゼロになり、これ以上引き下げられなくなる「ゼロ金利制約」に「可能な限り直面しないような政策運営が望ましい」「景気悪化時に実質金利を引き下げることができるように、小幅のプラスの物価上昇率を安定して実現していくことが重要だ」と強調しました。
こうした目的のために引き続き、2%の「物価安定の目標」の持続的・安定的な実現のために金融政策を運営していくことが適切だと総括しています。