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「役員報酬を切ってでも5%は」……苦しむ社長の決断 コスト増、価格転嫁は道半ば 中小企業「やむにやまれぬ賃上げ」の実態

2023年3月16日 0:23

■電気代は2倍、原材料の金属も値上げ

埼玉・川口市にある、従業員50人ほどの「石川金属機工」を訪ねました。

社長は「これが電気を一番使う電気炉です。銅とかスズを溶かします。電気を使うオバケみたいなものです」と工場を案内してくれました。

大量に電気を使う機械が多く、電気代は去年の約2倍になりました。さらに、原材料の金属も軒並み値上がりしています。取引先に値上げ交渉に応じてもらうため、日々金属の金額を記録し、コストの増加を訴えています。

社長
「大手も値上げに対しては今まで聞いてくれなかったところ(取引先)も、(価格転嫁を)6割7割ぐらいは認めてくれているかなって」

価格転嫁は道半ばですが、賃上げを決断しました。社長は「まあ(賃金は)5%は最低でも上げなきゃいけない。役員の報酬を切ってでもやらなきゃいけないと思っています」と語ります。

■「会社も社員も潤っていない」

一方、どうしても賃上げは難しいという東京・墨田区のアパレル企業「アシダニット」を訪ねました。

正社員は「生活面では一番苦しい時になってきているかなと思うので、やっぱり(賃金)上げてほしいかなとは思います」と話します。

この会社は取引先に値上げ交渉をしているといいますが、賃金に反映させるには厳しい現実がありました。

社長
「(商品の価格を)上げていただいている会社がほとんどですが、その分は光熱費に消えていって、賃金を上げるところまで回っていない。会社も潤っていないし、社員も潤っていないし。何とかしていかないと、とは思っています」


(3月15日『news zero』より)

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