東芝 取締役候補発表中止 売却先探しも進行中
東芝は13日、次期取締役候補を発表する予定だったが、急遽取りやめた。
決算発表の会見は予定通り行われ、その場でメディアから「発表取りやめは経営の混乱を印象づけるがなぜやめたのか」という質問が出た。
会見した平田政善CFOは「取締役候補者は指名委員会が決定することになっているので、答える立場にない」と述べた。
「指名委員会から『最適な体制を構築するために追加の時間を要することになった。株主総会に間に合うように選任する』と聞いている」と付け加えた。
その後東芝は、「一部候補者について利害関係がないか、独立性の基準を満たしているか等の書面上の確認を含めて調整中」との追加の発表を行った。
また東芝は今、非公開化も選択肢に買収提案を公募している。
これまでに10社と「秘密保持契約」を結んだ。
東芝の財務や事業の詳細など、買収額の決定などに必要な情報を提供しているという。
出資の提案は5月30日まで受け入れる。
非公開化をめぐっては、去年4月に当時社長だった車谷暢昭氏が意欲を見せていたが、東芝内部には反対する声が強かった。
その後は、会社を分割して上場する案を進めていたが、それも臨時株主総会で株主らから否決され、(法的拘束力はないものの)白紙となった。
東芝は、経営陣とは異なる提案をしてくる複数の海外ファンドを株主に抱えていて、混迷が続いている。
非公開化は、いったん今の株主を「一掃」し、安定した経営を行う手段だと見られているが、一方でグローバル企業のステイタスでもある「東証プライム市場上場」を廃止することに社内には不安もある。
3月に社長に就任した島田太郎氏は、「東芝には宝物のようにたくさんの技術や優れた人が存在する」「私は東芝を信じている。そのために全身全霊で職務に当たる」と述べた。
従業員たちが、不安なく働ける環境をつくり、技術力を維持、発展させられるのか、手腕が問われる。