不足どうする…? 電力ひっ迫時の“切り札”取材
この夏、懸念される電力不足。政府はその対策を話し合う閣僚会議を今週にも開くことにしています。電力がひっ迫した時の“切り札”とされる、ある巨大な施設を取材しました。
今年3月、地震による火力発電所の停止に急激な気温の低下が重なり、首都圏などの電力供給がギリギリまで追い込まれました。あのとき、大規模停電の発生を瀬戸際で食い止めた施設が、群馬県の山奥にあるといいます。
都心から車でおよそ3時間。地下へと続くトンネルを下っていきます。厳重な扉の中にあるものは…
日本テレビ・岩田明彦記者「こちらは地下深くにある巨大な空間。ここにある施設が電力ひっ迫時の“切り札”、揚水発電所です」
東京電力・神流川揚水発電所。地下500メートルに作られた発電所です。今年3月の電力ひっ迫時は、この揚水発電所がフル稼働してピンチをしのいだのです。
揚水発電所は、夜間など、電気が余っている際にダムに水をくみ上げておいて、電気が必要な時に、落差を利用して水車を回し発電します。
政府は、この夏が猛暑となった場合、東京電力管内では安定供給がきわどくなるギリギリまで需要が高まると予想。脱炭素化の流れで火力発電所が相次いで休止・廃止されているのが主な要因で、原発の再稼働の遅れも電力不足に拍車をかけています。
東京電力リニューアブルパワー・兵藤香さん
「揚水発電所の出番だよという状況ができてきた格好になります。常に対応できるように、この発電所はコンディションを整えている。(緊急時も)対応できるように努力していきたいと思います」
政府は今週にも電力ひっ迫対策の閣僚会議を開く予定ですが、電力不足が改善されるかは不透明な状況です。揚水発電所の活躍に頼る、綱渡りの夏になりそうです。