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“物価安定目標実現”日銀審議委員「ようやく見通せる状況に」

2024年2月29日 12:27
“物価安定目標実現”日銀審議委員「ようやく見通せる状況に」

日本銀行の高田審議委員は29日の講演で日銀が目指す2%の物価安定目標の実現が「ようやく見通せる状況になってきた」と述べ、マイナス金利政策の解除などを検討すべきとの考えを示しました。

高田委員は、日銀の金融政策を決める9人のメンバーのうちのひとりです。29日の講演で高田氏は、モノよりも価格の変動が小さいサービス価格が最近上昇していることや、今年の春闘で去年を上回る賃上げ機運が高まっていることなどを指摘し、「不確実性はあるものの、2%の『物価安定の目標』実現がようやく見通せる状況になってきた」との認識を示しました。

その上で、「今日のきわめて強い金融緩和からのギアシフト、 出口への対応も含め、機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要と考えている」と述べ、マイナス金利政策の解除や、長期金利と短期金利を一定の利率に誘導することで金利全体をコントロールする「イールドカーブ・コントロール」の解除なども検討すべきとの考えを示しました。

日銀は2月に入り、幹部が相次いで大規模な金融緩和を修正する際の論点などに言及しています。

3月18日と19日に行われる次の金融政策決定会合で、日銀がマイナス金利政策の解除に踏み切るのかどうかに市場が注目する中、日銀内からは「あとは植田総裁ら執行部の判断次第だ」という声も聞かれます。

一方、10年以上続く大規模金融緩和をめぐっては、大量の国債を買い入れたことで金融緩和を正常化する際に日銀の財務が悪化することへの懸念も出ています。

高田氏は29日の講演でこの点にも言及し、金融緩和の出口では金利を引き上げることで銀行への利息の支払いが増え、一時的に収益が下がるものの、その後は保有する国債が満期を迎えるたびに、より利回りの高い国債に入れ替わり、受け取る利息が増えるとして、「長い目でみれば中央銀行の収益はいずれ回復する」「一時的に赤字や債務超過になっても政策運営能力は損なわれない」との見通しを示しています。