ユニクロを展開する株式会社ファーストリテイリングが、年収を最大で4割アップ、初任給を月30万円にする賃上げを決めました。この決断に街の人の反応は…。そして、電気代の高騰などで給与を上げたくても上げられない中小企業の声を聞きました。

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物価高により生活が苦しくなる中、「賃上げ」を求める声が日に日に高まっています。11日、「最近給料が上がったか」を街で聞いてみました。

賃上げなし　メーカー勤務（23）
「賃上げはないですね」

――賃上げの話は出てない？

賃上げなし　金融業（27）
「（労働）組合が動いているけど、どうなってるかわからない」

賃上げなし　保険業（31）
「物価も高くなっているので、給料も高くなってくれないと生活が苦しい」

家計への負担が増える中、賃金はなかなか上がっていません。そんな中、最大40％の大幅な賃上げを決めたのは、ユニクロを展開するファーストリテイリングです。今年3月から国内で勤務する全社員を対象に、仕事の評価などに応じて賃金を引き上げるとしています。

新入社員の初任給についても、現行の月給25万5000円から月給30万円になります。さらに、通常、入社1年から2年で就任する「新人店長」は、月給29万円から月給39万円に引き上げるということです。

ユニクロの最大40％の「賃上げ」について、街の人の声を聞きました。

賃上げなし　メーカー勤務（23）
「40(％アップ)ってうらやましい」
「えぐい」
「私も働きたい」

賃上げなし　小売業（26）
「やる気が爆上がりしますね。寝る間も惜しんで働くレベルで」

ファーストリテイリングは、「海外に比べて低い日本の報酬水準を大幅に引き上げ、個々の人材に報いたい」としていて、優秀な人材を確保する狙いがあるとみられています。

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今、「賃上げ」が企業に求められています。

経団連　十倉会長（10日）
「（賃上げは）企業の社会的な責務であると」

みずほFG　木原正裕社長（5日）
「我々に求められていることは、少なくとも物価上昇を上回る（賃上げ）だと思うので、しっかり踏まえた上で決めていく」

大和証券グループ本社　中田誠司社長（5日）
「4％くらいは賃上げできるように（検討している）」

大手企業ではほかにも日本生命が平均7％、サントリーホールディングスが平均6％の賃上げ方針を表明しています。

一方、中小企業から相次いだのは、「賃上げは厳しい」という声でした。11日、都内で行われた、アパレル業界の中小企業の祝賀会でもそういった声が聞かれました。

株式会社和興　國分博史代表取締役
「自分たちの環境下からいくと考えられない、現実的に厳しい」

小倉メリヤス製造所　小倉大典代表取締役
「難しいですね。なんとか賃上げしたい、でもしていくためには利益を出さないといけない、でも利益を出すのには原材料高などさまざまな問題がある」

東京ニットファッション工業組合　南木健利理事長
「綿・ウールすべて海外から来ている、円安の影響も受けている。縫い糸をはじめすべてのものが15～20％上がっている」

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医療機器などの精密部品を製造する、東京・目黒区の町工場「富士精器」に賃上げについて話を聞きました。社員17人の賃上げの壁となっているのが、働く上で欠かせない電気です。

富士精器　藤野雅之代表
「電気代が非常に厳しい」

例えば、夏の電気代をみてみると、2021年の7月から9月の間は月40万円前後で推移していたものが、昨年は9月に最大で約90万円と倍近い料金に値上がりしていました。

富士精器　藤野雅之代表
「ひと月に50万（近い）差がうまれている。それが1年間続きますと600万の差が出ますので、人1人雇えるような金額の電気代の値上がり率になっているので、本当は一生懸命働いている従業員に還元したいけどなかなかそこまでいかない」

コロナの影響で落ちた業績が少しずつ戻り始めても、それを電気代や材料費の高騰が圧迫していました。

――（ユニクロの）4割賃上げは？

富士精器　藤野雅之代表
「4割となると、『今までの給料何だったの』となるので、本当に我々にしてみれば異次元、ちょっと考えづらい。中小零細で働いている方、日本の人口で多くいると思うんですけど、（政府には）その人たちが今後、自分が働いていて将来がみえる、見通しが利くような政策を打ってもらいたいのが本当の願い」

（1月11日放送『news zero』より）