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日本の食文化をどう残すか “味道”で世界に、人手不足の中“育成”は…「菊乃井」三代目主人・村田吉弘さんらの取り組み

2023年8月5日 18:44
日本の食文化をどう残すか “味道”で世界に、人手不足の中“育成”は…「菊乃井」三代目主人・村田吉弘さんらの取り組み

日本が世界に誇る食文化。一流の料理人が集結して、次の世代に日本の食文化を継承していく取り組みが始まりました。

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5月に行われたG7広島サミット。各国の要人をもてなしたのは、全国の食材をふんだんに使った日本食です。開催地・広島のレモンをしぼったあとの残りに塩、こうじ、大豆を混ぜて作ったみその冷製スープ。すしはワーキングランチとして食べられるよう、小さく一口サイズに。

このおもてなしの指揮をとったのは、京都の老舗料亭・菊乃井の三代目主人、村田吉弘さんです。

村田吉弘さん
「岸田総理からはね、地元料理にあまりこだわるなと。日本全体の食材を使わせていただくように考えました」

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6月、都内で行われた全日本・食学会の総会に理事長として出席した村田さん。そこには、テレビなどで活躍が知られる中華料理の脇屋友詞さんや、パティシエの鎧塚俊彦さんの姿もありました。

村田吉弘さん
「日本の食は今、世界中で非常に注目を浴びてまして、どのように世界の人々にアピールしていくか」

今回の総会では、日本の食文化の中のひとつの挑戦が。

人形町今半 高岡哲郎社長
「スーパーシェフたちの知見や経験や哲学をある一つのアートとして捉えて、それを世界に発信していく事業をしようじゃないかと」

“味”の“道”と書いて“味道”。このプロジェクトでは、茶道や華道、武道と同じく、日本の食文化を「味道」という名称で世界中に広めることを狙いとしています。そのために行うのが、次世代の料理人の育成に向けた一流料理人による料理動画の発信や料理教室の開催です。

村田吉弘さん
「人口が減っていきますから。働き方改革もあって、料理人でも8時間しか働けない」

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食の世界でも深刻になっている、人手不足の問題。村田さんも、日本の食文化を次世代に継承するため、育成に力を入れています。村田さんに「めちゃめちゃおいしくなってきてるやん、ええな。自分で食ってもうまいやろ」と声をかけられていたのは、菊乃井2年目の時松辰也さん(19)です。

──大将から褒められるのはまれ?
時松辰也さん
「そうですね」「実家が料理屋で父親も料理人なので、自分もなろうと思いました。おいしいって言ってもらえた時が一番うれしいですね」

村田さんは、日本の食文化を継承するために、大事なことは、料理人の育成だけでなく、料理人による未来を担う子どもたちの食育であるとも話します。

村田吉弘さん
「50年後の日本の子供を飢えさせんために、料理人は何をせないかんのか考えていかんと」