日本から3000キロ離れた島国・パラオで中津市の企業が脱炭素化に挑む 「青空コンセント」を世界へ

太平洋に浮かぶ島国・パラオ。
この国が直面する環境問題の解決の一助になればと、大分県中津市の企業が事業展開を目指しています。企業の思いを取材しました。
大分から南におよそ3000キロ、太平洋の島国・パラオ共和国です。
人口はおよそ1万8000人。300ほどの島々からなり、総面積は鹿児島県の屋久島と同じくらいの小さな国です。
エメラルドグリーンの海はまさに絶景。シュノーケリングやダイビングなどが人気の観光地です。
美しい自然が魅力のパラオですが、今、ある問題を抱えています。
◆TOS児玉直輝記者
「パラオにあるこちらの港では護岸が大きく崩れていて、その影響で柱も傾いている」
それが地球温暖化の影響による海面上昇。各地で護岸の浸食が進行しています。
◆現地の人
「海面上昇のような気候変動には困っている。私たちの島は(海抜が)低いので。特に離島の人々にとっては重要な問題」
また、異常気象で雨の量が増え、農作物の生育が悪くなり、収穫量が減ってしまうという影響も。
実際に現地のスーパーマーケットの野菜売り場には空きスペースが目立ちました。
不足している野菜は輸入せざるを得ませんが、その分、輸送コストがかかるため、価格の高騰を招いてしまいます。
このように、パラオの人たちの生活に様々な影響を与えている地球温暖化。
そのため、パラオ政府では脱炭素化に取り組んでいます。
二酸化炭素などの温室効果ガスを減らすため、2032年までに国内で使用する全てのエネルギーを再生可能エネルギーで賄うことを目標にしています。
そんなパラオで今、ある県内企業が新たに事業を展開しようとしています。
その企業とは中津市の「TーPLAN」です。
TーPLANは2006年に創業し、自動車や電機メーカーへのエンジニア派遣や技術支援を主な事業として展開してきました。
その後、寺下満社長はある思いを持って新しい製品の開発を始めたということです。
◆TーPLAN 寺下満社長
「今後将来、環境問題に対して何か役に立ちたいと思い、再生可能エネルギーを使った充電装置を開発した。その商品名が『青空コンセント』」。
開発した「青空コンセント」とは一体どんな製品なのか?寺下社長の出身地である姫島村で導入されています。
◆TOS佐野格記者
「島の中なので細い道が多い。こうした時に小型の自動車だと小回りも利いて運転もしやすい」
「青空コンセント」はこうした小型電気自動車の電力を太陽光発電で賄う設備です。車庫にソーラーパネルと蓄電池が設置することで、二酸化炭素を一切出さず、太陽の光のみで車を充電できます。
姫島村では観光客向けのレンタカー事業で活用されていて、「姫島モデル」と呼ばれています。
エネルギーの地産地消を実現するこの「姫島モデル」は県外でも導入されるようになりましたが、今、TーPLANは日本を飛び出し、パラオで事業を展開しようとしています。
◆TーPLAN 寺下満社長
「姫島と同様、パラオの脱炭素化に貢献できるということと(パラオは)観光産業が盛んなので観光交通として 私たちの仕組みを使ってもらえたら」
自分たちの持つ技術を世界へ。中津市の企業の太平洋の島国での挑戦が始まりました。
次回はTーPLANの社員たちのパラオでの奮闘の様子をお伝えします。