ロシア軍が“占拠”チョルノービリ原発から撤退へ
ウクライナの原子力発電所運営会社は31日、ロシア軍が占拠していたチョルノービリ原発から撤退を始めたと明らかにしました。
ウクライナ国営のエネルゴアトムによりますと、31日の朝にロシア軍がチョルノービリ原発の管理をウクライナ側に任せることを表明したということです。
ロシア軍のほとんどはすでに原発から撤退していて、隣国ベラルーシとの国境に向かっているとしています。チョルノービリ原発は、軍事侵攻初日の2月24日にロシア軍に占拠され、その後、電力を失うなどのトラブルが度々起きていました。
エネルゴアトムはまた、放射能汚染が最も深刻な「赤い森」と呼ばれる場所でロシア軍が塹壕(ざんごう)を掘るなどしたため兵士が被ばくしパニックが起きたとも述べています。
一方、ウクライナ東部を実効支配する親ロシア派は31日、壊滅的な被害を受け、陥落間近とも言われる南東部の要衝マリウポリに行政機能を設置すると発表しました。マリウポリを完全に掌握すれば東部での支配地域を広げたいロシアにとって大きな軍事的成果となります。
こうした中、1日にはウクライナとロシアの間で停戦協議がオンラインで行われる見通しです。仲介するトルコは、ゼレンスキー大統領とプーチン大統領の首脳会談実現に向け、今後1、2週間の間に2度目の外相会談を開く可能性があるとしています。
ただ、停戦合意についてロシア側は「非常に長い時間がかかる」とも述べていて、具体的な条件をめぐり協議は難航も予想されます。