ロシア軍が原発占拠 米機関「核物質を悪用のおそれ」見方示す
ウクライナではロシア軍の空爆などによる被害が拡大しています。こうした中、アメリカの情報機関のトップが10日、ウクライナの原発を占拠したロシア軍が、核物質を悪用するおそれがある、との見方を示しました。
今月1日からロシア軍に包囲されている南東部のマリウポリでは10日も激しい攻撃が続きました。マリウポリでは水や食料の不足も深刻で、地元当局によりますと民間人の死者は1200人にのぼっています。
こうした中、アメリカ議会の公聴会で証言したヘインズ国家情報長官は、原発の占拠や病院への攻撃を行うロシア軍について、「市民の安全を無視した無謀な行動をとっている」と指摘した上で、核物質を悪用するおそれがあるとの見方を示しました。
ヘインズ国家情報長官
「武器としてではないが危険な使い方をしたり、周辺住民に問題を起こすような形で、(原発などにある)物質を悪用するおそれがある」
一方、ロシア軍が占拠し今月9日に電力が停止していたウクライナのチェルノブイリ原発について、ロシアのエネルギー当局は10日、電力の供給が可能になったと発表しました。
ただ、ウクライナの原発を運営する「エネルゴアトム」は、電力の供給が可能になったことは確認できていないとしています。
またIAEA=国際原子力機関も確認できていないとするとともに、現地では放射線の測定や建屋の換気などのシステムが作動せず、放射線管理が安全に行えない中で缶詰状態のスタッフの体力が消耗していると指摘しています。