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タイ・インラック首相失職へ…人事「違憲」

2014年5月7日 17:38

 タイのインラック首相が公務員の人事に不当に介入したとして、憲法違反にあたるかどうかが問われていた裁判で、タイの憲法裁判所は7日午後、インラック首相の行為は違憲にあたるという判断を示し、首相は職を失うことになった。首都・バンコクの裁判所前から山崎大輔記者が報告する。

 裁判長が「インラック首相は、その職にとどまることはできない」と述べると、裁判を見守っていた人たちからはどよめきがあがった。

 この裁判は、インラック首相が2011年に親族を国家警察長官に任命し、反首相派の高官が更迭されたことが、憲法が禁じている不当な人事介入にあたるかが問われていたもの。憲法裁は判決で、「一連の人事はインラック首相が一族の政治的関心に基づき支援するために行われたものだ」と述べ、インラック首相や一部の閣僚の行為が「不当な介入」にあたるという判断を示した。

 タイの憲法では不当な介入と判断された場合、首相は自動的に失職することが定められており、インラック首相は失職に追い込まれることになった。

 タイでは2月に行われた総選挙が「無効」と判断されており、7月に出直しの選挙を行うことになっていた。インラック政権は暫定首相を立てて7月の出直し総選挙を何とか実施したい考え。ただ、選挙になると不利な反政府側は、あくまで総選挙を認めたくないため、インラック首相の失職を機に一挙にインラック派の影響力を排除し、新たな政権の樹立を目指したい狙いがある。

 一方で、インラック政権を支持するグループは、今回の判決に「司法クーデターだ」と批判を強めていて、10日に抗議集会を行う予定。

 泥沼化しているタイ政治。インラック首相が職を追われることにより、混乱がさらに拡大するのは避けられない見通し。