ハマスの大規模攻撃から1年、戦闘長期化で4万人以上が犠牲 ガザ地区で住民に変化も
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘のきっかけとなったイスラム組織ハマスの大規模攻撃から10月7日で1年を迎えました。4万人以上が犠牲となる大規模な長期戦となる中、ガザ地区の住民の意識に変化が出てきているといいます。
ハマスがイスラエルに大規模な奇襲攻撃を行ってから10月7日で1年。攻撃の応酬は続き、これまでのガザ地区の死者は4万人以上にのぼっています。戦闘が長期化する中、ハマスが実効支配するガザ地区では、住民の意識に、ある変化が出てきたといいます。
ガザ地区南部のパレスチナ人のジャーナリスト オベイドさん
「ハマスはガザ地区の住民から拒絶されています」
パレスチナ自治区の研究所が9月にガザ地区内で行った世論調査でも、ハマスによる大規模攻撃は「間違いだった」と答えた人が、初めて半数を超え、57パーセントと多数を占めました。
オベイドさんは、戦闘の長期化で、ハマスに対する視線が厳しくなっていると指摘、ハマスはガザ地区から撤退するべきだと訴えます。
ガザ地区のジャーナリスト オベイドさん
「ハマスにガザ地区から去るよう求めるのは、パレスチナ人としての権利です。もうハマスは必要ない」
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一方のイスラエル人にとっても苦悩の日々が続いています。
パレスチナ人を支援していたイリットさん
「自宅の外にいる時は大丈夫ですが、中にいるとクローゼットやベッドの下にテロリストが隠れているんじゃないかと考えてしまうんです。だから家に戻るのは難しいです」
イリットさんは去年10月まで、ガザ地区のパレスチナ人をイスラエルの病院に送迎するボランティアをしていましたが、送迎用の車はハマスの攻撃で大破。去年11月に私たちが話を聞いた時には、複雑な心境を吐露していました。
パレスチナ人を支援していたイリットさん(去年11月)
「パレスチナ人を乗せて運転するのは正直恐ろしい」
1年が経ついま、またボランティアをしようと思うか、尋ねると…
パレスチナ人を支援していたイリットさん
「ボランティアをしようと思っています。でも家の中から色々なものが盗まれたので、もし車に乗った女性が私の指輪をつけていたらどうする?ボランティアをやめるべき?と自問しています」
戦火はイスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点を置く隣国レバノンにも拡大。ヒズボラからの攻撃で緊迫するイスラエル北部、ハイファでは…
後閑駿一記者(イスラエル・ハイファ)
「本来であればたくさんの人で賑わっているそうなんですけれども、今はほとんど人が見当たらない状況となっています」
住民の間に広がる不安。約1年前に子供とともにレバノン国境地帯からハイファに避難したイスラエル人のザハラさんへの取材中には、突然、空襲警報が鳴り響きました。
避難生活中のイスラエル人 ザハラさん
「北部から避難したのです。なぜなら…」
避難先のはずのハイファでも、毎日のように空襲警報があるといいます。
避難生活中のイスラエル人 ザハラさん
「私の人生は1年間止まったようです。明日の計画を立てることもできません」
深まる中東の混迷。解決の糸口は見えていません。