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【解説】春節「民族大移動」? 日本への影響は 中国の感染発表“実態反映せず”

2023年1月6日 21:00
【解説】春節「民族大移動」? 日本への影響は 中国の感染発表“実態反映せず”

新型コロナウイルスの感染者数が、ジワジワと増え始めています。中国では人々の移動が活発になる春節を前に「感染爆発が起きている」との指摘もあり、日本への影響も心配されています。

●日本が“世界一”
●3年ぶり「民族大移動」?
●新たな変異も

以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。

■日本、世界最多の感染者数「検査数が多い」指摘も

6日、厚生労働省が発表した新型コロナウイルスの新たな感染者は、全国で24万5542人となり、全国の感染者の累計が3000万人を超えました。2020年1月16日、国内で最初の感染者が報告されて以来、累計1000万人を超えたのは2022年7月で、約2年半かかっていました。
それから、わずか2か月足らずで2000万人を超え、2023年1月6日、4か月ほどで3000万人を超えたことになります。

WHO(世界保健機関)が公表した直近7日間の国別の感染者数は、中国が20万9483人、アメリカは39万3587人、韓国は43万2132人でした。世界最多の日本は80万7708人と、韓国の2倍近くになりました。

欧米などでは、新型コロナは今や過去のものになりつつある中、「日本ではまだ比較的、検査数が多い」とされているので、こうした結果になっているものとみられます。

■中国政府の発表“過小評価” WHOが指摘

中国の感染者数は、日本と比較すると4分の1程度に収まっているかに見えます。中国当局は2022年12月、無症状感染者のカウントをやめたことなどから、統計は実態を反映しておらず、実際には「感染爆発とも言えるほど、感染が急拡大している」との報告もあります。12月、中国の専門家は「北京での感染率は、80%を超えた可能性がある」という見方を示しました。四川省の当局も「市民の80%以上が感染した」との推計を発表しました。

これを受けて、WHOで危機対応を統括するマイク・ライアン氏は「中国政府が発表している数字は、入院数・ICU患者・死亡者数について、この病気の本当の影響を過小評価している」と指摘しました。

こうした状況の中、中国では1月21日から旧正月の「春節」にあわせた大型連休を控えています。中国国内では、“3年ぶりの民族大移動”が起こるとみられています。中国政府は1月8日から国民の海外渡航を正常化させる方針を打ち出していることから、日本にもこの時期、多くの中国人が訪れるとみられています。

実際、世界各国では、中国からの渡航者に対する水際対策を強化しています。1月8日以降、日本は中国からの入国者に対して、PCR検査を行い、直行便での入国者に対し陰性証明を求めることにしています。ロイター通信によると、欧米でも陰性証明の義務化、抗原検査・PCR検査などで検査体制を強化する国も出てきています。

こうした入国規制を受けて、中国外務省の報道官は「政治的な意図をもって、防疫措置を操作することに断固反対する」と批判し、対抗措置をとる方針を示しています。

■変異株、新系統へ置き換わり 「高い重症化率の報告なし」

一方、変異株をめぐっても、動きがありました。2022年夏の第7波で主流だった変異株が新たな系統への置き換わりが進んでいることがわかりました。

5日、東京都が公表した資料によると、これまで東京都内の感染者の半数以上を占めていたオミクロン株の「BA.5」が44.9%まで下がりました。(2022年12月20日~26日)

「BA.5」から派生した「BF.7」が22.4%、「BQ.1.1」が8.4%となり、置き換わりが進んでいることが明らかになりました。

国立感染症研究所によると、中でも「BQ.1」系統は秋ごろからヨーロッパなどで増加傾向にあり、アメリカでも「BQ.1」系統が占める割合が増加しているとしています。「BQ.1」系統の特徴は、「感染を防ぐための免疫を回避する能力が高い」とされています。「ワクチン接種や過去の感染によって獲得した免疫が効かず、感染者が増えやすい可能性がある」との指摘もあります。

これまでのところ「重症化率が高いとの報告はない」ということですが、厚生労働省の専門家会議は「BQ.1系統は国内で割合が増加しつつあり、注視が必要だ」と呼びかけています。

この季節はインフルエンザや通常の風邪なども増えてくるため、新型コロナとの見分けもつきにくく、そのため医療機関のひっ迫も予想されます。ちょっとでも熱っぽいなど体調の異変を感じたら、無理せず早めの対応を心がけましょう。

(2022年1月6日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)