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北方領土の開発加速 ロシアの狙いは

2015年8月22日 18:22
北方領土の開発加速 ロシアの狙いは

 ロシアのメドベージェフ首相は22日、北方領土の択捉島を訪問した。プーチン大統領の年内の日本訪問が調整されている中、ロシアは北方領土の開発を加速させている。その狙いはどこにあるのだろうか。

 今月8日、NNNの取材班はビザなし訪問の枠組みで北方領土の色丹島を訪れた。いま色丹島で威容を誇っているのが3階建ての真新しい病院。ロシアの開発計画によって約15億円が投じられ、昨年末に完成した。ベッド数は25床で、最新の医療機器を備えている。

 病院の院長「2週間前にモスクワから保健相が来て、小さいながら良い病院だと評価しました」

 8人の医師が診療にあたり、島で初めてとなる産婦人科も設置された。

 色丹島を走る路線バスの運転手・クホロシュビーリさん(63)は中央アジアのジョージアから移住してきた。クホロシュビーリさんは、今後、色丹島に、より多くの観光客が来ると見込んでいて、宿を経営する計画だという。

 クホロシュビーリさん「島はきれいで、人にも恵まれ良いことばかりです。(色丹島に)日本人の家はありません。色丹島はロシアの領土なのです」

 一方、国後島には、約3500人を擁するロシア軍の機関銃・砲兵師団が駐留し、戦闘訓練を繰り返している。ロシアは、北方領土の防衛をさらに固める方針で、国後島と択捉島で新たな軍事施設の建設も進められている。

 メドベージェフ首相の今回の択捉島訪問は、プーチン大統領の年内の日本訪問にむけて調整が進められている中、北方領土がロシア領であることを対外的にアピールする狙いがあるとみられる。

 今回の訪問について日本の外務省は、ロシアのアファナシエフ駐日大使に、電話で「北方四島に関する日本の立場と相いれない。日本国民の感情を傷つけるものであり、極めて遺憾だ」などと抗議した。

 占領から70年。ロシア政府は、社会インフラの整備や軍事施設の建設を進めることで、北方領土における占領の既成事実化を図っている。